競合との競争の激しい市場のなかで、独自のブランド価値を築き上げてきた八代目儀兵衛とヤッホーブルーイング。共通するのは、業界の常識を疑い、「新しいものさし」で市場に挑んできた姿勢です。目利きしたお米をブレンドすることで新たな価値を生み、ギフト市場を創出した八代目儀兵衛。ユーモアとファンづくりで大手と一線を画す戦略を貫いてきたヤッホーブルーイング。両者の対話から、ブランドの差別化を生む哲学と、中小企業が道を切り拓くためのヒントを探ります。
八代目儀兵衛
代表取締役社長
橋本儀兵衛 氏
京都で代々続く老舗米屋の八代目当主。お米業界の常識を是とせず「お米の作る・買う・食べるを見直す」を軸に、お米のギフトECや“ごはんを食べる”体験型アンテナショップなど、様々な事業を展開。
ヤッホーブルーイング
代表取締役社長
井手直行 氏
国立久留米高専電気工学科を卒業後、電気機器メーカー、広告会社などを経て、1997年ヤッホーブルーイング創業時に営業担当として入社。2004年楽天市場店の店長としてネット通販事業を軸にV字回復を実現。2008年より現職。
業界にないものの導入がヒットへの道筋
―八代目儀兵衛、ヤッホーブルーイングは共に、競合との競争の激しい市場の中で、強いブランド力を築かれてきました。お二人はブランドに対してどのような考えをお持ちですか。
橋本:お米業界には“ブランド米”という言葉がありますが、「○○産○○○」といったように、産地と銘柄が重視されてきました。でも、それははたして「ブランド」と呼べるのだろうかと、かねてより疑念を持っていたのです。本来、ブランドとは「製品保証されたもの」であるはず。しかし農家ごと、土地ごとに、同じ品種であってもお米の味は大きく変わります。そこで、私たちはお米の食味をきちんと評価して、その内...
