自販機のキャッシュレス化は進みつつあるが、導入コストや操作の複雑化が壁となり、生活者の体験価値向上には課題が残っていた。しかしメーカーにとって、自販機は顧客と直接に接点を持てる重要なチャネルと言える。そこでサントリービバレッジソリューションは、誰でもタッチするだけで飲料を購入できる「ジハンピ」をリリース。自販機を“最も生活に近い接点”と捉える同社は、どのような思いでサービスを開発し、今後どんな顧客接点を描こうとしているのか。同社マーケティング本部 副部長の井上尊之氏に話を聞いた。
サントリービバレッジソリューションが2025年3月にリリースした自販機キャッシュレスアプリ「ジハンピ」。
“買いやすさ”実現を阻む 自販機が抱えていた構造課題
サントリービバレッジソリューションが自販機キャッシュレスアプリ「ジハンピ」の開発に踏み切った背景には、自販機市場が長年抱えてきた構造的な2つの課題があった。ひとつは、キャッシュレス決済に必要な端末や通信・保守費といった運用コストが高く、自販機の設置先(オフィスや商業施設、学校など)の条件によっては、導入が難しいこと。その結果、現金決済しかできない自販機が未だ約6割を占めていると言われ...


