この20年で何が起きた? 情報環境の変化とマーケティングPRの変革

公開日:2026年4月30日

  • 西山守氏(桜美林大学)

「PR」の定義は、時代とともに変容し続けている。2000年代の「戦略PRブーム」から、SNSによる広告とPRのボーダレス化を経て、現在は生成AIが世論形成に関与する新たな局面を迎えた。激変する情報環境の中で、企業はいかにしてステークホルダーと信頼を築くべきか。桜美林大学の西山守准教授が、メディアの変遷からPRの本質を解説する。

「露出」から「世論形成」へ デジタルの波が変えたPR

筆者が広告業界に足を踏み入れたのは1990年代後半だが、現在に至っても「PR」の解釈は業界や人によって異なり、つかみどころがない。しかも、定義や解釈もコロコロと変わっていく。逆に言えば、捉えどころがなく、変化が激しいところが、PRの特徴と言って良いだろう。

2000年代前半頃までは、マーケティングの世界でのPRは「メディア露出(メディアに取り上げられること)」に主眼が置かれていた。そしてその効果は、メディア露出(報道)を広告費に換算し、「○○円相当の効果があった」と判定していた。

大きな変化が訪れたのは2000年代の半ば以降だ。この辺りから「戦略PRブーム」が巻き起こるが、ブームの背景にはデジタル化の進展がある。例えばWeb記事、SNS、動画の存在が無視できなくなった。特に、SNSの口コミの影響力は年を追うごとに大きくなっていった。

この時期、デジタルに強いPR会社が台頭してきたが、2009年に代表的...

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SNS時代のマーケティングPR 成功事例に学ぶ戦略設計の羅針盤

生活者が企業からの直接的なメッセージよりも、友人やインフルエンサー、メディア、そして特定のコミュニティが発信する多層的な情報を参照して意思決定を行う現代。もはや「広告」という単一の手法だけで生活者の心を動かし、行動へとつなげることは困難になっています。激変する情報環境において、ますます重要性を増しているのが、広告・PR・SNS・コンテンツ、そしてコミュニティを横断的に捉え、社会の中に「売れる空気」や「新しい需要」を創り出す「マーケティングPR」の発想です。SNS時代の複雑な情報拡散構造を前提にしたとき、先進企業はいかにして生活者との信頼を築き、話題を「自分ごと」化させ、確かな購買やブランドへの共感へとつなげているのか。成功事例や研究者の知見を通じ、生成AIが世論形成に関与し始める新時代の戦略思考と、手法の境界が溶け合う時代に勝つための、組織のあり方を探ります。

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