「バズるほどいい」の終焉 brain rot時代に問われる、マーケターの責任①

公開日:2026年5月11日

  • 山根宏彰氏(富士通)

生成AIの台頭は、業務効率化の枠を超え、企業と生活者の接点のあり方を根本から変えようとしています。では、その接点が、生活者の認知や注意を削る方向に最適化されていたとしたらどうか。今回は、若者のスマホ・SNS依存と「brain rot」という言葉の流行を、マーケターがなぜ他人事として済ませてはいけないのか、という問題について考えます。

Z・α世代の当事者も自認する流行語に隠された「認知の危機」

生成AIの普及は、広告制作や分析の効率を上げただけではない。企業と生活者の接点そのものを組み替えつつある。では、その接点が、生活者の認知や注意を削る方向に最適化されていたとしたらどうか。

今回、考えたいのは若者のスマホ・SNS依存と「brain rot」という言葉の流行を、マーケターがなぜ他人事として済ませてはいけないのか、という問題である。

2024年、『オックスフォード英語辞典』を出版するオックスフォード大学出版局(OUP)は「brain rot」を年間の流行語に選んだ。直訳すると「脳の腐敗」。定義は、低品質で取るに足らないオンラインコンテンツの過剰消費が、精神的・知的状態を劣化させるというものだ。

しかもOUPは、この言葉がTikTok上のGen ZやGen Alphaの間で広がったこと、自嘲的なニュアンスを帯びていることまで説明している。つまり、大人が若者文化を揶揄するためにつくったのではなく、むしろ当事者自身が、自分たちの情報環境の異常さを半ば笑いながら言語化した言葉なのである。

そして、この言葉は単なる「流行語」で片づけるべきではないものだ。その理由は、すでに深刻なエビデンスが報告され始めているからだ。

WHO Health Behaviour in School-aged Children(HBSC)の...

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