緊急事態宣言や時短営業要請が解除され、外食店への人出は戻りつつある。予約・顧客管理システムのデータを基に、コロナ禍の外食行動の変化について調査レポートを提供してきたテーブルチェックの谷口優氏が、これからの消費傾向について解説する。
Q1 2021年の消費傾向の特徴をどう捉えていますか?
2021年は、昨年に引き続きパンデミックの影響を大きく受けた1年でした。インバウンド客、接待などのビジネス需要の激減により、自粛が全面解除された後も、1店舗当たりの来店人数は2019年比で3~4割減が続いています。また、2021年に入ってから、ランチとディナーの来店人数が逆転した点も見逃せません。夜間の時短営業要請期間が、およそ9カ月にも及んだため、ディナー客が、ランチに流れていったことが原因です。アルコール類が多く出て単価が高いディナー帯の落ち込みは、飲食店にとって深いダメージになります。
一方、店内飲食の来店人数が減少した分、テイクアウトやデリバリー市場は引き続き拡大しています。有名店がオリジナル商品を開発して、EC販売でターゲットを全国に広げるなど、新たな商機となっていると言えるでしょう。
Q2 コロナ禍前と変化したと思うことは?
コロナ禍で変化したのは消費行動だけではありません。飲食店側にとっても、DXに対する意識が高まり、新たな取り組みを始めるきっかけになりました。ゴーストレストランやモバイルオーダーの導入は、分かりやすい例でしょう。
また、ネット予約の導入に踏み切る飲食店も増えています。その背景には、グルメサイト依存からSNSやGoogleを活用した集客へと飲食店のマーケティングが...