キャッシュレス決済サービスなどを提供するPayPayでは、MMM運用をインハウス化し、現在は月次で最新の分析アウトプットが可能となるなど、変化の速い市場環境にタイムリーに対応できる体制が整っている。同社の立ち上げ期からマーケティング戦略に携わってきたコミュニケーション戦略部長の松永麻見氏に、MMMの活用について話を聞いた。
個人情報保護規制や技術革新 MMMへの関心が再燃
登録ユーザー数は6800万人以上(2025年3月末時点)、日本の人口の約2人にひとり以上が利用するキャッシュレス決済サービス「PayPay」。同サービスを展開するPayPayは、立ち上げから現在に至るまで、同社の急成長とともにマーケティング戦略も事業フェーズに応じて大きく変化してきた。
創業初期は「PayPayとは何か」の認知獲得が最優先で、大規模なキャンペーンやそれに連動したテレビCMを積極的に展開し、アプリのダウンロードと利用を強く促すことに注力した。しかし、サービスの普及に伴いユーザー数が大幅に増加すると、投入したマーケティングコストの効果を厳密に評価する必要が生じた。とはいえ、個々のメディアの効果を検証するだけでは全体として最適なマーケティング投資を実施するのは難しい。そこで、マーケティング活動全体の効果を統計的に分析できる手法としてMMMの導入を決めた。
同社の立ち上げ当初からメンバーとして関わってきたコミュニケーション戦略部長の松永麻見氏は、「全体のマーケティング効果を俯瞰し、最適な予算配分を判断する指標が必要不可欠だと考...