不確実性の高まった社会環境のなかで、生活者の心は揺れ動き、マーケティング・コミュニケーション活動の難しさが増していました。
しかし、そんな生活者の気持ちに企業の最前線で接してきた広告・マーケティング部門のトップの皆さんは、これまでの経験を生かし、コロナ禍の先を見据えた新しいコミュニケーションの在り方をすでに見つけ始めています。
生活者のブランドに対する期待も変わりつつあると言われるなか、いま日本を代表する企業でマーケティング・コミュニケーション活動を担うトップの方たちは、どのような戦略を描いているのでしょうか。38社の戦略から、成熟化した日本市場におけるブランドと生活者の関係性を考察します。
(敬称略・五十音順)
11 KDDI

コミュニケーションデザイン部
部長
合澤 智子(Aizawa Tomoko)
デジタルマーケティング部、メディア・クリエイティブ企画室長などを経て、現職(コミュニケーションデザイン部長)。
今年度のマーケティング戦略の方針
2030年ビジョン・目指す姿の実現に向けて、すべてのステークホルダーに対し、コミュニケーションを通じてブランドエンゲージメント、事業貢献を行う。
消費行動やメディア接触の変化として感じること
世の中には変わるものと変わらないものの2つがあると思う。価値観やライフスタイル、デバイス・メディア接触は時代とともに変化するため、マーケティングも時代に合わせる必要がある。一方、変わらないのは生活者の存在とマーケティングにおいてお客様を理解する姿勢。昨今はデータで理解を深めることが重要になっている。
今年注力したい領域
● 企業のブランド価値を向上させること
● データの活用
● 部門内の人材育成
昨今注目の広告・マーケティング手法
● クッキーレスへの対応
● Z世代向けマーケティング
● コネクテッドTV
実務上で抱えている課題
● 部内の広告・宣伝、メディアに関する知識・スキルが不足している
● デジタルテクノロジーに関する知識・スキルが不足している
● 取り組みの成果を評価する指標がない、あるいは不明確
部門の人材に期待するスキル
● 専門知識
● 企画力
● 表現力/センス
● データ分析力
● 実行力
● 調整力(他部門、外部パートナーなど)
● 自社・自ブランドについての理解
● 外部の人脈
● 仕事に対する内的な動機
12 コーセー

宣伝部
部長
織田 浩行(Oda Hiroyuki)
1993年入社。2007年マーケティング政策課課長、2009年ブランド企画部課長、2010年宣伝企画PR課課長、2013年通販事業室室長を経て、2019年より現職。
今年度のマーケティング戦略の方針
・多様化するメディアやプラットフォームに合わせたクリエイティブ開発と投資配分の最適化を図る。
・広告が嫌われる時代のクリエイティブを顧客視点に立って考え、決める。
消費行動やメディア接触の変化として感じること
・購買ファネルに基づいたカスタマージャーニー構造からパルス消費へのシフトが加速している。
・ジェンダーレス化により無性別消費が高まっており、商品開発や広告クリエイティブ上で対応していく必要性を感じる。
今年注力したい領域
● 商品の売上を宣伝施策で高めること
● クリエイティブ力の向上
● データの活用
昨今注目の広告・マーケティング手法
● マーケティング投資の最適化
● メタバース/VR/AR
● ファンベースマーケティング
実務上で抱えている課題
● 実施したいことを実現するための予算が足りない
● デジタルテクノロジーに関する知識・スキルが不足している
● 部員の社内外における今後のキャリア形成に不安がある
部門の人材に期待するスキル
● 企画力
● 表現力/センス
● データ分析力
13 サントリー食品インターナショナル

ジャパン事業本部
コミュニケーション本部
コミュニケーションデザイン部長
木下 卓也(Kinoshita Takuya)
2004年サントリー入社。食品事業に関わるブラマネ・企画、また中国事業(食品)におけるマーケティング部門等を経て、2017年よりコミュニケーションデザイン(宣伝)部門に着任。現在に至る。
今年度のマーケティング戦略の方針
コミュニケーションのプロ集団として世の中や生活者に「最も響く」コミュニケーションを届け、企業及びブランドの価値向上に大きく貢献する。
消費行動やメディア接触の変化として感じること
メディアが多岐に渡り、情報量が拡大しつづける中、ユーザーとブランドとの関係性による状況差はあるものの、広告がより届きづらくなっていると思います。
今年注力したい領域
● 継続的な購買の促進(リテンション、リピーター獲得施策)、既存顧客への対応
● 商品開発部門(事業部門)との連携
● クリエイティブ力の向上
昨今注目の広告・マーケティング手法
● マーケティング投資の最適化
● Z世代向けマーケティング
実務上で抱えている課題
● 取り組みの成果を評価する指標がない、あるいは不明確
部門の人材に期待するスキル
● 専門知識
● 企画力
● 表現力/センス
● データ分析力
● 実行力
● 調整力(他部門、外部パートナーなど)...