不確実性の高まった社会環境のなかで、生活者の心は揺れ動き、マーケティング・コミュニケーション活動の難しさが増していました。
しかし、そんな生活者の気持ちに企業の最前線で接してきた広告・マーケティング部門のトップの皆さんは、これまでの経験を生かし、コロナ禍の先を見据えた新しいコミュニケーションの在り方をすでに見つけ始めています。
生活者のブランドに対する期待も変わりつつあると言われるなか、いま日本を代表する企業でマーケティング・コミュニケーション活動を担うトップの方たちは、どのような戦略を描いているのでしょうか。38社の戦略から、成熟化した日本市場におけるブランドと生活者の関係性を考察します。
(敬称略・五十音順)
01 アサヒ飲料

マーケティング本部
プロモーション戦略部
部長
前川 哲(Maekawa Satoru)
1992年入社。2003年マーケティング部を経て、2018年より宣伝部。2022年4月に宣伝部がプロモーション戦略部に組織改編。
今年度のマーケティング戦略の方針
効くコミュニケーションで、世の中を明るく・楽しくする。
消費行動やメディア接触の変化として感じること
消費行動、メディア接触状況の多様化は引き続き進んでいる。
今年注力したい領域
● メディアの効率的なプランニング・バイイング
● 広告会社、制作会社、クリエイターとの連携
● 部門内の人材育成
昨今注目の広告・マーケティング手法
● マーケティング投資の最適化
● ファンベースマーケティング
実務上で抱えている課題
● 実施したいことを実現するための予算が足りない
● 部員の社内外における今後のキャリア形成に不安がある
部門の人材に期待するスキル
● 専門知識
● 企画力
● 実行力
● 自社・自ブランドについての理解
● 仕事に対する内的な動機
02 アダストリア

マーケティング本部
執行役員
マーケティング本部長
田中 順一(Tanaka Junichi)
2011年中途入社。WEB事業部 マネジャー、2015年にWEB事業部 部長、2018年 WEB事業部 本部長を経て、2020年に執行役員マーケティング本部長。
今年度のマーケティング戦略の方針
グッドコミュニティ戦略
ナカマーケティング
お客様とブランド・スタッフ・商品・チャネル、また、組む企業とのマッチング手法の確立。従来の販促や認知拡大のプロモーションなどそれぞれのブランドの立ち位置や、向かいたい方向に対しては実施はしていくが、上記記載したコアな考え方を持って進む。
消費行動やメディア接触の変化として感じること
時間の考え方がより重要になってきている。見たい時に見る、食べたい時に食べる、買いたいと思った時に買うなど、未来に対してより今どう思うか?と時間がそれに対してどうかかるか?が消費行動に対して影響力を増している。よく可処分時間と表現されるが、まさにその考え方がどんなサービスにも重要になっている。
今年注力したい領域
● 企業のブランド価値を向上させること
● 商品の売上を宣伝施策で高めること
● 部門内の人材育成
昨今注目の広告・マーケティング手法
● マーケティング投資の最適化
● メタバース/VR/AR
● ファンベースマーケティング
実務上で抱えている課題
● 実施したいことを実現するための人手が足りない
● 部内のマーケティングに関する知識・スキルが不足している
● その他(何をするにしてもシステムが重要でシステム開発者が欲しい)
部門の人材に期待するスキル
● 表現力/センス
● 外部の人脈
● その他(仮説力)
03 アルペン

マーケティング本部
執行役員
マーケティング本部長
原子朋則(Harako Tomonori)
2015年販売促進部SD企画Gチーフ。2017年にスポーツデポ・アルペンマーケティング部 部長 兼務ブランドマーケティングGチーフを経て、2022年にマーケティング本部長。
今年度のマーケティング戦略の方針
購買データ他、お客様の趣味嗜好、様々な情報を駆使し、お客様が欲しい時に欲しい情報を届ける。つくり手の理屈でなく、お客様のベネフィットに対し、お客様へどんなメリットを与えられるのかを発信をし「クリック」や「来店」へ繋げるために「お客様との継続的なコミュニケーションを行う」ことが重要と考えています。
消費行動やメディア接触の変化として感じること
昨今、表面的な販促メディア活動、特にデジタル広告は、デジタル社会の中で埋もれ、認知されても、人の心には届かないと感じています。「お客様へ、価値ある情報を創り、伝え届ける」広告情報発信ではなく、継続的なコミュニケーションを意識しながら、心に刺さるマーケティング活動を行うことの必要性を感じています。
今年注力したい領域
● 企業のブランド価値を向上させること
● 継続的な購買の促進(リテンション、リピーター獲得施策)、既存顧客への対応
● データの活用
昨今注目の広告・マーケティング手法
● Z世代向けマーケティング
● 運用型テレビCM
● ファンベースマーケティング
実務上で抱えている課題
● 部内のマーケティングに関する知識・スキルが不足している
● デジタルテクノロジーに関する知識・スキルが不足している
● 外部パートナーとの連携体制に不安・不満がある
部門の人材に期待するスキル
● 専門知識
● 企画力
● 表現力/センス
● 実行力
● 調整力(他部門、外部パートナーなど)
04 NTTドコモ

プロモーション部
部長
坂本 秀治(Sakamoto Shuji)
1995年入社、2014年国際事業部担当部長、2016年第一法人営業部担当部長、2018年社長秘書役を経て、2021年より現職。
今年度のマーケティング戦略の方針
① グループ/コーポレートブランディングの強化
② 事業戦略・課題に沿った統合マーケティングコミュニケーション
③ デジタルシフトとデータの活用による可視化・改善
消費行動やメディア接触の変化として感じること
特に若年層を中心としたフィルターバブルと、「コト・トキ」消費への行動変化。そうした変化に対応して、自社ブランド・サービスに対する認知・興味を喚起するための適切なマーケティング手法。
今年注力したい領域
● 企業のブランド価値を向上させること
● 商品の売上を宣伝施策で高めること
● データの活用
昨今注目の広告・マーケティング手法
● マーケティング投資の最適化
● 生活者のプライバシー保護
● パーパスブランディング
実務上で抱えている課題
● 実施したいことを実現するための予算が足りない
● デジタルテクノロジーに関する知識・スキルが不足している
● 取り組みの成果を評価する指標がない、あるいは不明確
部門の人材に期待するスキル
● 表現力/センス...