ネット世論と広告炎上
SNSが浸透したことで、生活者がその時々に感じた気持ちを発信することが可能になりました。しかし、その率直な気持ちが、ときに広告に対する批判、そしてネット上での炎上につながるケースも多く見られます。社会全体が多様な価値観を内包しようと進むなか、その動きを分断するような広告表現は許容されないでしょう。その一方で企業も社会において、ひとつの「人格」を持った存在として活動する以上、その「企業人格」が発信する考えに対して、反対の意見を持つ人が出てくるのは当然のことと言えます。賛否両論の意見が起きると「炎上広告」とひとくくりで話題にされがちですが、いま企業が耳を傾けるべき生活者、顧客の声を見極める必要が生まれているのではないか。そうした仮説のもと、ネット言論と広告炎上について考えます。
広告プランニングの新・潮流 「新・メディアの教科書」
「ペイドメディア」だけでなく、「アーンドメディア」に「オウンドメディア」と、「トリプルメディア」すべてを活用したマーケティング・コミュニケーション活動の必要性が叫ばれるようになってから数年が経ちました。その後、生活者の情報収集接点はさらに種類も多様化し、メディアプランニングはますます難易度を増しています。従来のペイドメディアを中心としたメディア特性による分類では太刀打ちできず、生活者視点に立った適切な接点づくりを考える必要性が生まれていると言えるでしょう。それぞれのメディアの世界別に慣習やルール、専門用語もある中で、マーケティング担当者はどのような視座でメディアを選び、また活用すればよいのか。現代社会においてメディアと情報伝播の流れを俯瞰的に踏まえながら、個々のメディア別の活用法を考えていきます。
ランキングに惑わされない!独自路線のブランド戦略
毎年、企業のブランド力や自治体の魅力など、様々なランキングが発表されます。ブランドが置かれている状況を把握する上で、これらのランキングは有用なものです。一方で、こうした指標には他者が設定した項目にもとづく評価であるという側面もあります。ブランド戦略においては、他者がつくった指標に惑わされず、オリジナリティを貫くことも大切。現時点の市場においては「弱み」と思われることであっても、その「弱み」に独自性があるのであれば、それを「強み」として生かすブランド戦略もありうるのではないでしょうか。他者のものさしに縛られず、自らが1番になれる新しい「土俵」をつくる。固定観念にとらわれることなく独自の路線で発信することで、顧客に新たな選択肢を提供する事例、考え方を紹介します。
新しい「消費」、新しい「商圏」
不要不急の外出自粛が呼びかけられ、仕事においてはリモートワーク、レジャーにおいては県をまたいだ移動の自粛が求められる今、人々の「行動範囲」や「移動行動」も変化をしています。人の移動が変わる時、当然ながら縮小する市場もありますが、一方で新しく生まれる市場、商圏もあります。特集では移動・人流データを読み解きながら、人の移動が変わる時代の新しい消費、新しい商圏を、事例を中心にレポートします。
アイデアでコロナ鎖国を乗り越える!
近年のインバウンド需要の高まりに加え、2020年には東京2020大会で国外から多くの観光客が来訪する予定だった日本。しかしコロナ禍における外国人観光客の流入数は当然ながら4月以降、前年同期比99.9%減といった状況も見られました。観光産業をはじめ、国内の需要喚起を目指す動きはあるものの、人の往来がほぼ皆無になっている状況下、かつてのインバウンド需要で実現していた売上には程遠いのが現状。日本国内における需要の喚起、あるいは物理的な人の往来がなくなったいまだからこその、オンラインを活用した越境ECなどといった新しい売上はつくれないのでしょうか。大手企業から中小店舗まで、インバウンド需要に期待ができない中での市場開拓方法を考えます。
2021年 マーケティング予測
マーケティング・コミュニケーション活動における手法やメディアだけでなく、マーケティング活動においても、施策が複雑になればなるほど、事業会社側の組織も、またそれに相対するパートナー企業の組織や人材も専門特化し、細分化していく傾向にあります。しかし高い専門性を求められながらも、企業におけるマーケティング活動の全体像を把握しなければ、個々の専門性を発揮して成果につなげるのは難しいもの。それでは2021年に「マーケティング」という言葉を考える時、その全体像をどのように理解・把握すればよいのでしょうか? マーケティング、マーケティング・コミュニケーションを俯瞰の視座で捉える最前線の実務家・研究者の考えを聞きます。
マーケティング活動 投資配分の最適化
メディアも手法も多様化し、マーケティング活動の打ち手は増える一方です。広告とPR、デジタルとアナログ、メディア投資とコンテンツ制作投資といった打ち手の注力のバランスをどう取るか? あるいはブランディングと販促、プロダクトブランドとコーポレートブランドなど、マーケティング活動のなかで重視する目的をどこに設定するか?など前例のない意思決定を多くのマーケティング担当者が迫られています。特にコロナ禍で消費者行動が変化をしていると言われるいま、その意思決定はさらに難易度を増しています。組織や体制の進化を進めている企業、新しい施策にチャレンジした企業では、難しい意思決定をどのような判断の指針をもって進めているのでしょうか。第一線で活躍する実務家の皆さんに「判断の指針」を聞きます。
戦略策定から社内調整まで DX・データ利活用
近年、国内企業でも高まっていたDX(デジタルトランスフォーメーション)の気運は、コロナ禍によって一気に加速しました。マーケティングにおけるDXの肝ともいえるのが、データの利活用。ブランド体験が競争軸になる時代、顧客のデータをもとに、商品やコミュニケーションを日々改善し、満足度を高める努力が欠かせません。しかし、コロナ禍によって加速した消費者のデジタルシフトに合わせオンラインのチャネルを拡充し、データ取得ができるようになったとはいえ、有効に活用するためには戦略だけでなく、データが有効に機能する社内体制の構築も必要。理想論だけでは進まない、データ利活用を基点としたDXの方法論について、実践をもとに考察していきます。
コロナ禍で見直す企業理念
社会が変わり、かつテクノロジーの進化・消費が激しい時代においては、いま現在、提供している商品・サービス、さらには創業時の業態を起点とする社会における存在意義の定義だけでは環境変化に追いつけない状況も生まれています。特にコロナ禍においては、営業自粛をせざるを得ない外食産業、観光客を積極的には呼び込めない観光産業、人の移動が減り、利用者が減少する交通インフラ産業など、雇用を維持し、企業を継続させるため、自社の資源や社員の職能を活用し、新たな事業開発をする必要が生まれています。では、創業時から事業が変化していく企業において、理念は創業当時から変わらないままでよいのでしょうか。事業変革に際し、企業理念を見直す必要性、また必要となる場合には、どのように見直せばよいのか。企業の実例をもとに考察していきます。
世界のトップクリエイターの判断力──クリエイティブの潮流2020
移動の自由が制限され、国際的なアワードも自粛傾向にあるなか、海外のクリエイティブの潮流がわかりづらい状況が生まれています。しかしパンデミックによって世界が大きく揺れ動く今、ブランドがどのように振る舞い、そして何を発信すべきか、試行錯誤をしている方も多いと思います。人々の不安や不信が高まるなかで、ブランドのコミュニケーション活動の在り方自体が大きな転換期を迎えている今だからこそ、世界の潮流から得られるヒントも多いはず。世界のトップクリエイターに、その見識とインサイトを見抜く力をもって、いまブランドがどう振る舞うべきか、世界の潮流からその考えを聞きます。
経営者が考えるニューノーマル
新型コロナウイルス感染症に伴う緊急事態宣言が解除され、感染拡大を防ぎながら、経済活動を続けていく段階に入りました。今後の感染状況によっては、外出自粛要請が強化される懸念があるものの、私たちは「Withコロナ時代」に対応した新しい生活様式での日常に一歩、足を踏み出したと言えるでしょう。人々の価値観、生活、働き方が変わるとき、そこにはリスクがあると同時に新たな市場を開拓するチャンスも生まれます。そして、その可能性を組織内で最も先に見出しているのは、経営者です。
いま企業は、これからの消費者に寄り添う、どのようなサービスを提供しようとしているのでしょうか。月刊『宣伝会議』では各業種・業界のトップランナー企業のリーダーたちに、次なる構想を取材。先を見据える経営者の構想に、これからのマーケティングのヒントがあります。
宣伝部長に聞く変革時のブランド&メディア戦略
メディア環境が大きく変化するなか、広告・コミュニケーションは大きな転換点を迎えていました。そんな折に起きたのが、新型コロナウイルス感染症の流行。人々の意識や行動が大きく変わり、また非接触のコミュニケーションの拡大で社会全体のデジタル化が大きく推進されようとしています。この状況でいま、企業のマーケティング・コミュニケーション活動を牽引する宣伝部長は何を考え、これからの戦略をどう組み立てようとしているのでしょうか。そして、いまこの環境でコミュニケーションにできることとは何なのでしょうか。105社の宣伝部長への匿名アンケート、ならびに38社の宣伝部長の実名コメントから、変革期の「ブランド&メディア戦略」を読み解きます。
顧客エンゲージメントでコロナ禍を乗り切る!
既存顧客向け施策の重要性は認識しながらも、短期的な成果が表れづらいこともあって、マーケティング戦略上、新規顧客の開拓が優先されるケースは珍しくありません。そんな状況を一変させたのが、今回の新型コロナウイルス禍です。リアル店舗を主力チャネルとしていた企業にとっては、新規顧客と接点を持つことすら難しい状況になりました。顧客と会えない時代。いま、「エンゲージメント」の重要性が再認識されつつあります。今号では、アフター/ウィズコロナ時代まで見据えて顧客とつながり続けるためのヒント、「エンゲージメント」の価値、その本質に迫ります。
2030年 人口動態の変化を見据えた新市場開拓の戦略
2015年から2030年にかけて、日本の総人口は1億2709万人から1億1913万人(-6.3%)へと減少。65歳以上の割合は、26.6%から31.2%(+4.6%)へと上昇します。人口減少や高齢化が不可逆的な時代に、マーケターはどのように対応していくべきでしょうか? 人口や世帯構成の変化、その推計データを紹介しつつ、その変化に対応したこれからのマーケティングの在り方を最前線の方々の考察から探っていきます。
「顧客体験」戦略 その設計から改善まで
消費者が求めるものは、モノの所有から利用へ。そして、機能的価値から情緒的価値をより重視する流れへと移り変わってきています。これらの消費スタイル、意識の変化は、いまやあらゆるマーケターにとって避けては通れない課題となっています。こうした環境下で選ばれるブランドになるための方法として注目されているのが、商品・サービスの購入前後に及んで一貫した「体験」を顧客に提供し、さらにその質を高めていくこと。競争力の源泉となる顧客体験(カスタマーエクスペリエンス/CX)向上に取り組む企業が増えています。一方で、「体験」は形ないものであるために定義や効果の可視化も難しく、実践が難しい側面もあります。では、一体どのようなアプローチであれば実現できるのか。「顧客体験」設計と、その価値向上の取り組み方法を紹介していきます。
人が「メディア」になる時代 インフルエンサーマーケティング
インターネットの登場以前から、消費者の口コミは消費行動に影響を与える存在でした。それが企業による一方的な発信では、なかなか消費者に情報が届きづらくなっている状況の中で、第三者による発信をマーケティング活動に戦略的に取り入れる視座がますます必要になっています。折しも消費者の発信力が高まり、人が"メディア化"する状況も生まれています。そこで注目されるのが、各領域に存在するインフルエンサーと呼ばれる、ターゲット層の意識や行動に影響を与える人たちの存在。しかし、昨今はステルスマーケティングの問題がメディアでも取りざたされるように、インフルエンサーと企業の関わり方には難しさも伴います。特集ではインフルエンサーと呼ばれる人たちが、消費に大きな影響を与えている現実を前提としながら、単なる流行りの手法として捉えるのではなく、その本質を理解したうえでの実践の方法を探っていきます。