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成熟社会のエンゲージメントマーケティング

「顧客満足度」ではなく「顧客体験・顧客価値」に注目―ソニー損害保険の取り組み

「心のつながり」「ロイヤリティ」といった定性的な価値向上を目指すことに、なかなか着手できていない企業も未だ少なくありません。その中で、新規顧客の開拓のみならず、ファン化、ロイヤリティアップ、エンゲージメント強化など、既存のお客さまとの関係性強化に力を入れ始めたマーケターに、取り組みの今を聞きました。

積極的・能動的に「選ばれる」損保会社へ

ソニー損害保険(以下、ソニー損保)は、全社をあげて顧客体験・顧客価値の向上を目指しており、2015年4月にはCXデザイン部を新設した。

「ダイレクト自動車保険14年連続売上ナンバー1」(同社調べ)を誇り、顧客満足度は90%台をキープしている同社だが、NPS®(Net Promoter Score®)での評価を確認したところ、積極的にソニー損保を選んでいるのではなく「他社と比較したり、変更するのが面倒」「何となく」といった消極的な理由で契約を更新している顧客が一定数いることが明らかになった。

1年ごとに更新タイミングを迎える自動車保険では、新規顧客の獲得はもちろん、既存顧客の継続率を高めることが、事業を成長させていく上で非常に重要となってくる。

「NPS®と継続率との間には、明確な相関関係があることが分かりました。また、ロイヤリティの高い既存顧客は新規顧客を紹介してくれる傾向が強いので、NPS®を高めることが、既存顧客の継続率アップと新規顧客の獲得の両方に効果があると考えました」とCXデザイン部長の片岡伸浩氏。こうして、ソニー損保ではNPS®を重要なKPIのひとつに設定し、全社でNPS®向上を追求することになった。

そしてNPS®を高めるための取り組みとして、「顧客体験の最適化による顧客価値の向上」を全社的なミッションに掲げ、CXデザイン部が旗振り役となって推進している。

スペックではなく顧客体験で差をつける

自動車保険のブランド差異化につながり得る要素としては、(1)保障内容や保険料といった商品・サービスのスペックと、(2)契約申込から事故受付・保険金支払いまでのサービス全体を通じて提供する顧客体験という、大きく2つがある。しかし、スペックでの差異化には限界があると片岡氏。「保険商品には基本的に特許制度はなく、新しい商品やサービスを打ち出しても他社がすぐ追随してきます。結果、お客さまにとっての価値にはつながらない、些末な部分でのスペック競争に陥りがちです」。

一方、顧客体験については競合から見えにくい。加えて ...

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成熟社会のエンゲージメントマーケティング

経済環境を反映し、日本の企業はマス広告を投下してリーチと認知を獲得し、新規顧客を開拓し続けることを重視するきらいがありました。
しかし市場の成熟化が顕著になった今、LTVという概念が注目されるなど、既存顧客との関係性を重視する傾向が強まっています。加えてコモディティ化が進む環境下、「機能」ではない差別化軸を探す必要に迫られていることからも、消費者との間のエンゲージメントづくりに対して関心が高まっています。
定量化しづらい価値であることから取り組みが難しい面もある、エンゲージメントを重視したマーケティング活動。これから多くの日本企業が取り組んでいかざるを得ないテーマの、最前線の取り組みや概念を紹介します。

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