各企業で広告費のあり方が問われるなか、企業の広告資源配分をデータで支える手法のMMMは、かつての“専門家の領域”から、“誰もが扱えるオープンな手法”へと進化しつつある。15年にわたりMMMに携わってきたインテージデジタル戦略本部データサイエンス部部長の佐藤健一氏が、今企業に求められる広告評価の視点とMMMの現在地を解説する。
「今すぐ売れる力」だけでなく「将来に効く力」を測る広告評価
小学生の娘を育てていると、「これは費用なのか?それとも投資なのか?」と考える場面によく出くわします。例えばピアノ教室の月謝。すぐに成果が出るわけでもなく、支出を控えても家族は十分に幸せです。しかし、将来の可能性を広げる“投資”と捉えれば、財布のひもも自然と緩みます。
この感覚は、企業が広告宣伝費をどう捉えるかという議論にも通じます。マーケティングの現場では、広告費は「今この商品を売るための費用」として扱われがちですが、経営の視点では「将来の売上やブランド価値を育てるための投資」として捉える重要性が高まっています。広告の費用対効果を示す代表的な指...