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「顧客体験」戦略 その設計から改善まで

日本でも広がる「リキッド消費」にいま企業は、どう向き合うべきか?

シェアリングエコノミーの浸透をはじめ、最近はモノを所有すること、あるいは特定のブランドへの執着が希薄化してきていると言える。こうした現象を表現するのが「リキッド消費」の概念だ。この概念を用いることで、不透明だった消費スタイルの変化も見えてくる。

所有を前提としないアクセス・ベースの消費行動「リキッド消費」に今、注目すべき理由

──青山学院大学 経営学部 教授 久保田進彦氏

日本においていち早く、リキッド消費に着目し、研究を進める久保田進彦教授。リキッド消費とは何か、そしてこの概念はマーケティング実務に、どのような有益性をもたらすのだろうか。

欲しいものを欲しい時に 求められるのは、速さと手軽さ

私は今、Fleura BardhiとGiana M.Eckhardtの2名のイギリス人の研究者によって提唱された「Liquid Consumption(リキッド消費)」に注目しています。後述しますが、リキッド消費は今日の消費スタイルの変化を的確、かつ包括的に表現する概念です。その説明に入る前に、まずは私たちの消費スタイルの変化に目を向けてみましょう。

私は企業に身を置く立場ではないので、一人の消費者として、世の中を見ています。その立場から強く感じるのは、明確に消費スタイルが変わったということ。例えば、家の中を見渡してみても10年前にはあったけれど、今はなくなったものが複数あります。車は処分しましたし、CDもありません。生活全般において、確実に所有物が少なくなっています。

世の中全体を見渡しても「借りればいいや(所有することに対して関心が弱まった)」「どれでもいいや(特定のブランドに固執しなくなった)」という傾向が強まっているのではないでしょうか。

この変化を端的に表現すれば消費において「速さ」「手軽さ」が強く求められるようになっているということだと思います。「欲しいものを欲しい時に手に入れたい」という欲求は、おそらく人類が太古から抱いてきた欲求でしょう。それが技術進化、社会変化によって容易に実現されるようになった。その結果として、じっくり時間をかけてブランドを選んだり、それを使用したり利用するために手間や努力を費やすことが好まれなくなっているのです。

この変化の背景にはデジタル化の影響もあるでしょう。例えば、ブランドとの結びつきの希薄化については、「ブランド・パブリック」という概念が提示されています(Arvidsson and Caliandro 2016)。これはSNSで特定のブランドについて発信するユーザーは、より効果的に自分自身をプロモートするために発信をしているだけで、そのブランドのコミュニティのメンバーになりたいと思っているわけではない、という主張です。

さて、話を消費スタイル全般の変化に戻しましょう。前述のように、「その瞬間を楽しむタイプの消費」が実現されるには「速さ」だけでなく「手軽さ」がポイントになります。私は消費者が手軽さを求める傾向は、ここ10年くらい見られる「Simple」という言葉の流行と関連していると考えています …

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消費者が求めるものは、モノの所有から利用へ。そして、機能的価値から情緒的価値をより重視する流れへと移り変わってきています。これらの消費スタイル、意識の変化は、いまやあらゆるマーケターにとって避けては通れない課題となっています。こうした環境下で選ばれるブランドになるための方法として注目されているのが、商品・サービスの購入前後に及んで一貫した「体験」を顧客に提供し、さらにその質を高めていくこと。競争力の源泉となる顧客体験(カスタマーエクスペリエンス/CX)向上に取り組む企業が増えています。一方で、「体験」は形ないものであるために定義や効果の可視化も難しく、実践が難しい側面もあります。では、一体どのようなアプローチであれば実現できるのか。「顧客体験」設計と、その価値向上の取り組み方法を紹介していきます。

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