デジタル広告の良さは届けたい人を選んで届けられること。一方でマス広告は、より広い範囲の人に広告が届く。多くの人にリーチできるメリットがある反面、ターゲットとしていない人にまで広告が届くことも必然と言える。スマートニュースの網谷隆志氏に、デジタルとマスの表現配慮の違いと同社の戦略について聞いた。
リーチ規模が違うマスとデジタル 訴求するコンテンツを分ける
ニュースアプリ「SmartNews(スマートニュース)」は、「政治」「経済」「エンタメ」「ビューティー」「恋愛」「釣り」など、1000を超えるチャンネルで、幅広い情報を発信している。
運営会社であるスマートニュースで新規ユーザーの獲得をミッションとする組織、グロースマーケティングチームのマネージャーを務める網谷隆志氏は、3年ほど前からユーザーの層が変化していると話す。
「ローンチ直後は、ニュースに対する興味関心が高いアーリーアダプター層の方が中心でした。しかし現在、スマートニュースのユーザー数は日米で2000万人以上。約3年前に顧客拡大を目的に飲食店やコンビニなどのクーポンを配布する『クーポンチャンネル』を開始したことで、顧客が一気にマジョリティ層へと広がったのです」と網谷氏。それまで広告プロモーションはデジタルが中心であったが、クーポンチャンネル開設時はお笑いコンビ・千鳥を起用したテレビCMを大量に放映した。
「クーポンチャンネルをつくるにあたり日本でクーポンに興味がある人の数を試算したところ、約2000万人という結果が出ていました。2000万人が対象となると、マス広告で狙える規模だと考え、千鳥さんを起用したCMを展開しました」。
同社では、マス広告とデジタル広告を併用した広告宣伝を行っている。両者の違いは、“届く人の数”。そこで、この「数」に応じたメッセージを開発している。マス広告はテレビCMを中心に出稿しているが、テレビCMは幅広い多くの人に共通のメッセージを発信できるのに対し、デジタル広告は一人ひとりにターゲティングしたメッセージを発信できる。
「『マス広告はダイレクトレスポンスにつながりにくい』と言われることもありますが、ひとつの広告で伝えられるメッセージの量はデジタル広告よりもテレビCMの方が多いです。テレビCMなどのマス広告は、直接的なアクション効果が見えづらくても、きちんとメッセージが届いていれば、その後別の機会にスマートニュースというアプリに関する情報に触れた際、使ってみようと思ってもらえます」と網谷氏。テレビCMにはインストール数を上げる下地としての効果があるのだという。
マス広告とデジタル広告のクリエイティブ内容については、どのような点を意識しているのだろうか?
「マス広告は多くの人に届く。それは、すなわちターゲットではない層の人にも届くという...