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コロナ禍で見直す企業理念

「なりわい」の再定義による事業変革×企業文化の変革

  • 朝岡崇史氏(ディライトデザイン)

DX(デジタルトランスフォーメーション)など、既存企業もビジネスモデルの転換を余儀なくされている。事業の転換は、当然ながら戦略を掲げただけでは実現しえず、それを形にする従業員の理解や自分ゴト化が欠かせない。全社を巻き込む事業変革はどう実現すべきか、カスタマーエクスペリエンス(CX)戦略が専門の朝岡崇史氏が解説する。

事業ドメインを変えるだけでなく企業の文化も変える必要

デジタル化による破壊的イノベーションが進展する中、多くの企業が自社の業態、つまりは「なりわい(生業)」を再定義する必要に迫られています。ここで私が使う「なりわい」とは、基幹事業ドメインを表現するに留まらず、創業時から培ってきた企業風土や価値観といった精神性も滋養する営みという意味も含んでいます。企業が時代に合わせた変革を考える際、基幹事業の変革に留まらず、それを一人ひとりの社員が自分ゴトとして捉える全社運動に昇華するための企業文化の変革なくして実現し得ないと考えたためです。

私が、「なりわい変革」という言葉を使い始めるようになったのは2014年頃。当時、象徴的だった出来事が富士フイルムによる事業転換でした。2014年に創立80周年を迎えた同社は「Value from Innovation」のスローガンを掲げ、それまでの基幹であった写真フィルム事業で培った技術力を生かし、ヘルスケアや光学デバイスなど6つの事業領域への注力を社内外に表明します。同社におけるフィルム事業の売上は2000年からの10年で約20分の1に縮小。デジタル化の影響を受けた売上減でしたが、同社は事業の転換でこの危機を乗り越えます。

すべてがコネクトするIoT時代 あらゆる業種がハイテク企業に

富士フイルムの場合には、フィルム事業がデジタル化の影響を受けましたが、いまやデジタル化がもたらす破壊的イノベーションは業種・業態を問わず、あらゆる企業に影響を与えるものです。そうした状況を端的に表していたのが、2015年にCES(米国・ラスベガス)で行われた、シスコシステムズの当時のCEOジョン・チェンバース氏のスピーチ。彼は「IoE(IoT)によって何もかもがコネクトされる。そして、すべての業種はハイテク企業になる」と話しました。

加えて「今後10年間で『Fortune500』(『Fortune』誌が年に1回発表。総収入に基づき全米の上位500社をランキングとして発表するもの)のなかで、生き残れる企業は40%程度にすぎない」と予測しました。

アナログのプロダクトが駆逐されるだけでなく、あらゆる業態において...

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コロナ禍で見直す企業理念

社会が変わり、かつテクノロジーの進化・消費が激しい時代においては、いま現在、提供している商品・サービス、さらには創業時の業態を起点とする社会における存在意義の定義だけでは環境変化に追いつけない状況も生まれています。特にコロナ禍においては、営業自粛をせざるを得ない外食産業、観光客を積極的には呼び込めない観光産業、人の移動が減り、利用者が減少する交通インフラ産業など、雇用を維持し、企業を継続させるため、自社の資源や社員の職能を活用し、新たな事業開発をする必要が生まれています。では、創業時から事業が変化していく企業において、理念は創業当時から変わらないままでよいのでしょうか。事業変革に際し、企業理念を見直す必要性、また必要となる場合には、どのように見直せばよいのか。企業の実例をもとに考察していきます。

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