生活風景を考え抜く力 それが、今、マーケターに求められる資質

公開日:2025年12月26日

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    第一線のマーケター・クリエイターが明かす、キャリアアップの奥義。今回は、オイシックス・ラ・大地でOisix EC事業本部 販売企画室室長を務める坂本浩毅さんにこれまでのキャリアについて伺いました。良い転職は、良質な情報を入手することから始まります。「こんなはずではなかったのに…」とならないための、転職情報をお届けします!

    Q.海外志向はいつ芽生えたのですか?

    浪人が決まったときに訪れたイタリアで、世界の広さに触れたのがきっかけです。将来、グローバルな仕事がしたくて、留学制度が充実している上智大学へ進学。アメフト部の活動に4年間打ち込んでいて、結局留学はしませんでしたが(笑)。

    化学専攻だったので、就職活動では、研究職も考えました。でも、基礎研究は社会実装まで時間がかかる。もっと早く社会にインパクトを与えたくて、他の職種も幅広く探しました。その中で、海外志向が強かった私には、ニッセンの「海外で商品を買い付けてカタログで紹介する」事業が魅力的に感じました。

    Q.配属は希望通りに?

    希望した部署には空きがなく、配属はコールセンターでした。「なんでやねん!」と思いましたよ。でも、働くうちにその奥深さに気づきました。パートやアルバイトを含め、100人以上のメンバーのマネジメントを通じ、お客さまと直接向き合うビジネスの基本を学べたことは、自分の血肉になっていると思います。1年後に異動したWeb部門では、ベビー&キッズのカテゴリーを担当。検索ワードを分析してページ構成を工夫し、売上を伸ばす方法を考えていました。

    上司とのキャリア面談では、入社時からずっと海外部門に行きたいと伝えていました。あるとき、「商品の買い付けにかかわるには、データ分析の素養が必要」と言われ、データベースマーケティング部へ。リピート率改善やティーンズ向けカタログの成長戦略の策定など、他部署の課題解決を支援する、社内コンサルのような部署です。そこで3年ほど戦略に携わると、データマーケティングの実践に強い興味を抱くように。CRM部門に志願して異動し、ロイヤル顧客向けの販促を担当。LTV(顧客生涯価値)を最大化する手法を学びました。

    複数の部門を経て身に付いたスキルは、顧客の意思決定プロセスが複雑化した現在のビジネスに活かせるものばかり。Web普及期に多くの経験ができ、よい流れをつかむことにつながったのだと思います。

    Q.転職のきっかけを教えてください。

    満を持して海外部門へ、と意気込んでいたところ、その部門が事業整理の対象になってしまって。それならと転職を決意しました。

    2014年に全日空商事に入社したのですが、すぐに空港内の売店を運営するグループ会社に出向に。テレビドラマ『半沢直樹』が流行っていた時期で、「いきなり左遷か?」と身構えましたが(笑)、出向は部署異動に近い形で、小売業界での経験を踏まえた配属だと聞き、安心したのを覚えています。そこで3年間の経験を積んだ後、新設部署への異動が決まり、約1年間従事したところで、急遽シンガポール支店への赴任が決まりました。引き続き海外で働きたかった私にとっては「ようやくチャンスが来た」という思いでした。シンガポールは刺激的でしたね。

    街の変化のスピード、意思決定の速さ。どれも想像以上でした。しかし、新規事業の資本提携先を探していた矢先にコロナでロックダウン。支店も閉鎖となり、2年も経たずに帰国を余儀なくされました。

    新規事業をプランのまま終わらせてしまったことが心に残っていたため、近しいモデルを展開していたフォースバレー・コンシェルジュへ転職し、コロナ禍で打撃を受けた事業の立て直しに携わりました。ただ、同社が得意とする公共事業中心の業務では、仕様書通りの運用が求められます。それに次第に違和感を覚え、主体的にビジネスをつくりたいと考えるように。そこで、ご縁をいただいて現職に就きました。

    Q.マーケターとして大切にしていることは?

    2022年から、オイシックス・ラ・大地が展開する「Oisix」のEC部門を率いています。

    私がマーケターとして一番大切にしているのは、実は「論点設定力」です。私はデータには強みがありますが、本当に向き合うべき課題は、海外事業や人材ビジネスなど、生身の人と接する現場の中でこそ見つけてきたと感じています。実際にお客さまと接し、リアルな生活風景を思い描きながら「このお客さまにとっての本当の問題は何か?」を考え抜く。データは事実を表すものですが、その背景にある行動や感情を読み解く力こそが、マーケターに求められる資質だと思っています。

    私のキャリアは決して一直線ではありません。思わぬ仕事でも腐らずに取り組んだら、意外なほどキャリアの幅が広がりました。自分の希望とは違っても、まずは目の前のことを極めてみる。それを重ねることで、結果的にユニークな人材になれると思います。

    もちろん、自分なりの判断軸は持つべきですし、やりたいことは言い続ければいい。私も、もう一度海外でビジネスをつくる仕事がしたいと思っています。自分で立てたプランを実行してスケールさせるところまでやり切りたい。そこまでの道のりも、寄り道を楽しみながら進みたいと思っています。

    オイシックス・ラ・大地株式会社
    Oisix EC 事業本部
    販売企画室 室長
    坂本浩毅 氏

    上智大学を卒業後、ニッセンに入社。コールセンター勤務後、データベースマーケティングやCRMなど、マーケティングの基本を習得。全日空商事グループのANA FESTAで空港内売店の店舗改革に従事したのち、シンガポール支店に赴任。帰国後、2021年に海外人材採用支援のフォースバレー・コンシェルジュで公共事業を担当。2022年4月よりオイシックス・ラ・大地でEC事業を推進。

    聞き手
    株式会社マスメディアン
    取締役
    国家資格キャリアコンサルタント
    荒川直哉

    マーケティング・クリエイティブ職専門のキャリアコンサルタント。累計4000名以上の転職を支援する一方で、大手事業会社や広告会社、広告制作会社、IT企業、コンサル企業への採用コンサルティングを行う。転職希望者と採用企業の両方の動向を把握しているエキスパートとして、キャリアコンサルティング部門の責任者を務める。「転職者の親身になる」がモットー。

      お問い合わせ

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