戦後の日本において、世論調査や市場調査は、社会の変化や技術の進展とともにその役割を拡張してきた。国民把握を目的とした調査は、やがて企業の経営判断を支える基盤となり、デジタル化やAIの登場によって新たな転換点を迎えている。本稿では、滋賀大学データサイエンス学部准教授の増田純也氏が、日本のリサーチの歩みを振り返りながら、その変遷と現在地を解説する。
滋賀大学
データサイエンス学部 准教授
増田 純也氏
大学院修了後、フリーランスとしてデータ分析を行う。その後、複数のマーケティング・リサーチ企業に所属し、データ分析業務および社内外のデータサイエンス人材育成に従事。2025年7月から滋賀大学データサイエンス学部に実務家専任教員として着任。立教大学大学院社会学研究科応用社会学専攻前期博士課程修了。
インターネットからAIまで産業の変遷と手法の限界
日本における世論・市場調査の出発点は、1948年のGHQによる「日本人の読み書き能力調査」です。これは、厳密な無作為抽出法(ランダムサンプリング)を用いて、全国の270地点で15~64歳の男女1万6820人に対して実施されました。組織としては、1945年に内閣情報局企画資料部輿論調査課が設置され、これが政府世論調査組織のはじまりとされています。
これらの一連の動きは、戦後の混乱期から日本が民主主義政治へと移行する過程において、国民を把握し、政策決定に反映させることが...
