特定の目標を与えるだけで、達成に必要な指示やタスクを自ら生成し実行するAIエージェント。接客領域のAIエージェントを手がけるZEALSの執行役員 渡邊大介氏が、ブランドづくりやCX(顧客体験)に、接客AIエージェントがどのように貢献できるのかについて解説する。
「AIエージェント元年」を超えて2026年に起きるトレンドとは?
「AIエージェント元年」と言われた2025年。業務効率化のために企業がAIエージェントに投資する動きが見られたが、来たる2026年は、大きく2つのトピックが加わるのではないか、とZEALSの渡邊大介氏は予測する。
ひとつがAI検索で商品などの自社情報が表示されやすくするための「最適化」への投資だ。そしてもうひとつが自社サイトをはじめとした「顧客接点」においてAIエージェントを活用し顧客体験をリッチにしていく動きだ。いずれも社内の業務効率化にとどまらない新たな活用と言える。
情報を生成AI経由で集めるようになり、Google検索時も「AI Overview(AIによる概要)」が表示されるなど、従来型の検索エンジン以外の情報収集法が台頭する中で「“検索→LP”で伝達するというセオリーが機能しない時代が近づいており、顧客との接点においては、“対話”がより重要になるのでは」と渡邊氏は指摘する。
ブランド人格をAIに宿す「Omakase.ai」の設計
ZEALSが2025年から提供している「Omakase.ai」は、テキストチャットや音声チャットによって接客するAIエージェントを簡単に生成できる仕組みだ。
「Omakase.aiにはブランドのパーソナリティを宿すことができます」と渡邊氏は説明する。
具体的には、接客態度などの人物像・性格を設定し、販売ノウハウやFAQといったナレッジを学習させ、接客作法などの「カスタムルール」を決めておくことで、ブランドのパーソナリティを体現するようなAIエージェントを生成できるというもの。
導入事例として、英会話の「NOVA」では、Omakase.aiを導入したサイトのコンバージョンレートが約15%向上。アパレルの「はるやま」では、商品リンクのクリック率が4%向上するなどの成果を上げている。
AIによる音声接客でマーケティング支援を実現
10月からはOmakase.aiが日本語の音声チャットにも対応した。ヘアケアブランドの「MEDULLA」の事例では、導入から2週間で3000件以上の音声接客が行われている。ユーザーの4割が10秒以上会話を続けており、ユーザーの疑問解消率は9割になるなどの実績が出ている。
「テキストから音声チャットに切り替えることで、リアルタイムに顧客の困りごとを把握できるようになり、会話のログから、どのような発話がキーワードとして多いかなど、顧客のインサイトも分析できるようになっています」と渡邊氏。
顧客に合わせた「おもてなし」をAIで提供できるかどうかが、今後の企業の競争力を左右する要素となっていきそうだ。
ZEALS
AIストラテジック
コンサルティング部 執行役員
渡邊大介氏
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