競争優位を維持できる期間が短命化し、多くの企業が試行錯誤によるスピード戦略へと舵を切らざるを得ない今、資源を一点集中し、短期間での市場制覇を目指す「垂直立ち上げ」戦略が再び有効性を高めている。このハイリスクな集中戦略を成功に導くには、投資の「量」に加え、新製品に慎重な大衆層の購買ハードルを下げるGTM戦略の「中身」が不可欠だ。専修大学の中村世名准教授が解説する。
試行回数が増える今だからこそ一点集中が相対的に強さを発揮
企業を取り巻く競争環境は、ここ数年で劇的に変化した。一度確立した競争優位が企業に長期間にわたり恩恵をもたらす̶そんな経営学の教科書が描く世界は、今となってはすっかり「古き良き時代」の話である。現代の企業は、苦労して競争優位を確立しても、その達成に安心している暇はなく、次なる競争優位をどのように創出するかを絶え間なく模索し続けなければならない状況だ。
こうした環境で重要なのが「スピード」である。競合よりも早く動き、積極的に行動できる企業の方が高い業績を上げやすいことを多くの研究が示している。背景には、需要を精緻に予測し、予測に基づいて戦略を設計することが著しく難しくなっている現状がある。ならばとにかく行動し、試行錯誤の中で市場機会をつかみ取るしかない。試行の頻度が多い企業ほど結果としてチャン...

