国内の広告市場規模に大きな減少はないものの、その構造は変化。メディア企業の収益基盤は揺らぎ始めている。可処分時間の主戦場はインターネットに移り、収益の大半はプラットフォーマーに吸い上げられる構造が定着したからだ。生成AIの進展が加わるなか、メディア企業に求められる戦略について、メディアコンサルタント/コミュニケーションプランナーの松浦シゲキ氏が解説する。
生成AIがもたらす「二重の衝撃」
2024年の日本の総広告費は7兆6730億円(電通「日本の広告費」)となり、3年連続で過去最高を更新しました。しかし、数字の華やかさとは裏腹に、メディア企業が潤っているわけではありません。2023年度の総務省の調査では、休日におけるインターネットの平均利用時間が初めて200分を超過し、もはやユーザーの可処分時間の主戦場はインターネットへと完全に移行しました。この構造変化のなかで、GoogleやMeta、TikTokといったプラットフォーマーが広告収益の大半を吸い上げ、コンテンツ供給者には「おこぼれ」のようなトラフィックとマネタイズ機会しか残されていないのが現実です。
私が20年以上、メディアビジネスに携わってきたなかで痛感するのは、コンテンツをつくる「つくり手」、それを届ける「伝え手」、そして消費する「受け手」の三者関係において、伝え手であるプラットフォーマーの力が圧倒的に強まっているということ。「つくり手」と「受け手」が一体化していたマスメディア時代から、現在はその2者が大きく分離し、その間を「伝え手」が支配する構造になっています。
さらに追い打ちをかけるのが、プログラ...

