テレビ中心のマスマーケティングは限界を迎え、生成AIやプラットフォームの進化が広告の前提を変えつつある。インフルエンサーの発信やSNSでの口コミの力が大きくなり、生活者に届く情報はアルゴリズムによって選別される。いま、広告の主導権はブランド企業・顧客・プラットフォーマーのどこにあるのか。そんななか、企業はいかに存在感をつくり出すのか。広告が直面する難しさと企業の可能性について、東京都立大学 経済経営学部 教授の水越康介氏が解説する。
広告は誰のものになったのか 主導権をめぐる3つの可能性
広告は、ますます難しい時代を迎えている。テレビに注力したマスマーケティングはすでに限界を迎え、インターネットやSNSにおけるインフルエンサーや口コミの重要性が増している。ネット上で社員がとりあえず踊っている動画を見かけることも不思議ではなくなった。
今日の広告活動の難しさは、二段階ある。第一に、インフルエンサーの反応や口コミは企業が意図して管理できるものではない。自社のSNSアカウントを活用したり、インフルエンサーには企業案件を依頼できたりするとしても、口コミ自体は人々に期待するしかない。第二に、たくさんの口コミがネット上に広がったとしても、それらが自分たちの顧客に届くかどうかはまだわからない。SNSには固有のロジックやアルゴリズムがあり、半ば自動的に情報を取捨選択するからである。
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