労働者人口の減少により、企業は限られたリソースで最大効果を創出する“効率的なGTM戦略”を求められている。こうした課題に対し、テレシーは、AIを活用し、「確かな仮説立証に基づく高品質な意思決定」と「高速PDCA」を実現する独自のプロダクトを提供している。GTM戦略の検証フェーズから定着フェーズまで一貫して支援するテレシーのソリューションについて、開発責任者の吉濱正太郎氏に話を聞いた。
高速PDCAを駆動する意思決定支援の「質」
テレシーが2022年から提供する「テレシーアナリティクス」は、テレビCMの効果分析に特化し、“早く・高品質な”データと分析結果を提供することで、出稿後の高速PDCAを可能にする分析プロダクトだ。
従来のテレビCMの効果分析は、データ取得と分析に時間を要し、その間に市場環境が変化してしまうという課題があった。「テレシーアナリティクス」は複数の特許を取得した独自技術により、出稿直後からWeb流入やアプリインストールなどの指標を、短時間で可視化する。
ここで重要なのが、分析が単なる戦略実行の検証ステップにとどまらない点だ。吉濱氏は「我々は分析結果を起点に、次のアクション設計まで含めたPDCA全体にコミットしています」と語る。つまり、単に“成果の診断”を行うだけではなく、「結果を踏まえて何をすべきか」という意思決定まで支援することで、広告投資の質を大きく引き上げているのだ。この高速なデータフィードバックこそが、市場の微細な変化を捉え、的確な打ち手に迅速につなげるために欠かせない。
「テレシーアナリティクス」のダッシュボード。テレビCMの効果を包括的に分析する「シーケンシャルレスポンス分析」と、放映枠ごとの貢献度を分析する「ダイレクトレスポンス分析」の2つのモデルはいずれも特許を取得。これにより、クリエイティブの質や番組の質を、より精密に評価することが可能になった。
AIによる高速テストと市場仮説立証
GTM戦略の検証フェーズにおいては、「最小リソースで市場仮説を立証する」ことが常に課題となる。市場に響くメッセージやクリエイティブの探索には時間とコストがかかり、検証スピードを阻害してきた。「ライトニングアド」は、この課題に対し、AIを用いた“クリエイティブの高速供給とテスト”により、市場仮説立証の速度を劇的に改善するプロダクトだ。
同プロダクトは高速・低コスト制作だけが強みではない。生成AIを活用し、ターゲットインサイトに基づくクリエイティブフレームワークを構築している点が大きな特長だ。
「最終的に目指すのは、行動変容の壁を越える“共感とリフレイン”を生み出すクリエイティブです」と吉濱氏は強調する。AIによる効率化と人の知見を掛け合わせることで、最小限のコストと時間で、市場に響く確かな“勝ちパターン”を導き出すことが可能になっているのだ。
GTM戦略の拡大フェーズでは、テレビCMに加え、デジタル広告、OOHなど、多岐にわたる媒体への予算配分の最適化が鍵となる。「ライトニングMMM」は、テレビCMを含む全媒体の統合分析を可能にし、各チャネルの貢献度を可視化することで最適な予算配分を導く。
従来のMMMは分析に数カ月を要し、静的なモデルゆえに市場変化への対応が難しいという課題があった。プライバシー規制の強化や統合的な評価の必要性により注目を集めるMMMだが、同社でもマーケティング支援を進める中で、クライアントからのニーズが高まっているという。
同社はベイズ推定を用いた時系列解析モデルを基盤とし、「どの媒体に、いつ、いくら投資すれば最も成長に寄与するか」というシミュレーション結果を提示する。これにより、高品質な意思決定を実現し、拡大フェーズにおけるROIを最大化する。
さらに、「ライトニングMMM」をはじめとする同社のプロダクトは、事業の持続可能性と収益性を高める定着フェーズにおいても、さらなる成長を促す。
目指す方向性は「信頼されるための技術開発」
2025年12月現在、「ライトニングアド」と「ライトニングMMM」は取引企業へ先行提供をしており、2026年度以降の本格リリースに向け、さらなる機能強化を図っている。業界や企業ごとの状況に合わせて柔軟に対応する中で、一定の共通項も見えつつあるという。その上で目指すのは「あくまで人とテクノロジーの融合」。長期的に顧客に伴走できる仕組みづくりが、プロダクト開発の中心にある。
吉濱氏は「社員の知見やスキルを組織の価値としていかに変換し、容易に活用できる仕組みにするか̶そのための投資を進めています。共通化・自動化できる部分を見極めることで、クライアント企業様と向き合う時間を生み出すことを重視しています」と語る。
「クライアント企業様にとって、企業の成長を左右する大きな予算は、当然ながら信頼できない相手には託せません。だからこそ私たちは、『このプロジェクトの成功を託したい』と強く選ばれるような、信頼されるプロフェッショナルを一人でも多く育てていくことを目指しています」。
お問い合わせ
株式会社テレシー
TEL:03-4577-1469
E-mail:telecy_contact@cartahd.com
