“独自性”で上位2%にランクイン マニュライフのストーリーテリング戦略とは?

公開日:2025年10月31日

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    マニュライフ生命保険は2025年1月から、長寿に関する考え方と将来への備えの提案を目的とした新ブランドキャンペーンを開始した。写真家·操上和美氏を起用した本施策では、「長生きは意味がない」という人々の考えに対し「長生きは意味がない。本当にそうでしょうか?」と問いかける。同社はこの挑戦的なメッセージを通じて、長寿に対する人々の意識を変革し、加齢に対するより前向きで主体的な見方を促すことを目指している。

    マニュライフ生命保険
    常務執行役員 CMO
    カーラ・ハートライト氏

    マニュライフ・ファイナンシャル・アジアのカスタマー・エクスペリエンス&トランスフォーメーション・アジア責任者を経て、2024年から現職。マニュライフ入社以前は、ロンドンと香港の代理店、コンサルティング会社、企業でマーケティング・リーダーを歴任。

    高齢化が進む日本将来の不安解消が重要テーマ

    ――日本での事業展開における課題についてお聞かせください。

    当社はカナダを拠点に135年以上の歴史を持つ、世界有数の金融サービスグループ「マニュライフ・ファイナンシャル・コーポレーション」の一員で、日本の市場で本格的に活動を開始したのは今から26年前のことです。現在アジア10の国と地域で事業を展開していますが、日本は特に重要なマーケットのひとつとして位置付けています。

    日本市場を重視する背景には、日本の深刻な高齢化があります。当社がアジア9の国と地域で実施した「アジア·ケア·サーベイ2025」※によると、77%が「老後の資金が不足するだろう」と考えており、アジア地域平均の43%と比べて大きく上回りました。調査対象国の中で最も高い割合で、日本における将来に備える保険のニーズは高い状況といえます。また、日本では現金、貯蓄、定期預金は総資産の72%を占めており、これはアジア地域平均の50%を大きく上回ります。理由は「リスクを避けたい」、あるいは投資や保険商品について「よくわからない」ためです。世界有数の長寿国である日本においても、人々は老後に対する大きな不安を抱えていることが浮き彫りになっています。長寿という課題にグローバルに取り組む企業として、私たちは金融リテラシーの促進で人々の不安を和らげ、将来に自信を持って備えられるよう支援することを目指しています。

    ※「アジア·ケア·サーベイ2025」…調査期間:2025年1月~2月/調査対象:日本、中国、香港、台湾、ベトナム、フィリピン、シンガポール、マレーシア、インドネシアの9つの国·地域の25歳以上の男女計9034名(うち日本1000名)/調査方法:インターネット調査

    ――今回のキャンペーンではどのような層を対象としたのですか。

    これまでの保険業界は40代以上をメインターゲットにしてきましたが、「人生100年時代」といわれる現在、若い世代も将来設計について真剣に考える必要があります。そこで保険ニーズが顕在化する40歳以上はもちろん、将来的な顧客となる若い世代にもアプローチし、社名やブランドを知ってもらうことに注力しました。クリエイティブは特定の年齢層に限定せず、幅広い世代に響くものを目指しています。

    そこで、私たちはファッション、広告、映画の分野で活躍する写真家·操上和美氏を起用しました。操上氏は、依頼当時89歳。彼が歩んできた豊かで卓越した人生の軌跡は、「適切なタイミングで正しい選択をすることで、充実した意味のある人生を築ける」というメッセージに、深い説得力と真実味を与えてくれると考えました。

    「長生きなんて、するもんじゃない?」という言葉の背景には、当社の調査で明らかになった厳しい現実があります。「アジア・ケア・サーベイ2025」によると、日本の回答者のうち「できるだけ長く生きたい」と答えた人はわずか6%。多くの人が理性では長寿を“恵み”と理解しながら、感情面では将来への不安がその認識を覆してしまうのです。

    私たちは、十分な準備と的確な意思決定があれば、長寿は恐れるものではなく、人生を豊かにする源になると考えています。「長生きしても意味がない」という諦めの感情に対抗するために、私たちはあえて「本当にそうでしょうか?」と挑戦的なメッセージで消費者に問いかけました。

    加齢に対する考え方を再構築することで、より前向きで主体的、そして希望に満ちた人生観を育むことを目指したのです。事前の市場調査で、このメッセージが当社を「信頼できるパートナー」として印象付け、人々の行動変容を促すかを検証しましたが、ポジティブな反応が得られたことから実施を決断しました。

    カンター社の調査によると、47秒の動画広告は「独自性」で上位2%、「説得力」で上位4%にランクインし、過去5年間に日本でテストされたすべての広告の中でも高い評価を得ました。従来のプロダクト中心のメッセージから脱却し、「充実した人生を生きる」というテーマを中心に据えたストーリーテリング手法は、多くの視聴者の心に響き、「自分は長寿をどう捉えたいか?」と考えるきっかけを提供できたと考えています。15秒バージョンの広告も明確な効果を示し、想起率は15ポイント、ブランド検討率は3ポイント向上しました。

    また、さらにブランド・ポジショニングを強化するために、私たちは「Better Story」キャンペーンを新たに展開しました。このキャンペーンは、マニュライフ生命の営業担当者が実際にお客さまのライフプランを支援した3つの実話を中心に構成されています。2025年秋には、これらのストーリーを全国97カ所の「イオンシネマ」でシネマ広告として展開しました。

    動画「人生に、たしかな選択を。~長生きなんて、するもんじゃない?~」では、操上氏が、過去のとある選択が現在につながっていると語る。

    ――最後に今後の展開や将来的なビジョンを教えてください。

    この成功を支えたストーリーテリング手法をさらに発展させ、今後も「人生に、たしかな選択を。」というタグラインに基づいたメッセージ発信を続けていきます。

    「アジア・ケア・サーベイ2025」によると、日本の消費者は身体的・精神的・経済的な健康をほぼ同等に重視しており、特に身体的健康が最優先とされています。同時に、年齢を重ねても人生を楽しむために、資産を長持ちさせる方法を考える人が増えています。このような意識の高まりは、単なる老後の準備から、“ウェルススパン(経済的に自立し、充実した生活を送ることができる期間)”を積極的に延ばそうとする姿勢への変化を示しています。

    こうした背景を踏まえ、私たちは人々が経済的基盤を築き、守ることを支援したいと考えています。それにより、より長く、活動的で、自立した、充実した人生を送れるようサポートしていきます。

    私たちが目指すのは、人々が経済面だけでなく、身体的·精神的にも安心を感じられるよう支援することです。なぜなら、長い人生を豊かに生きることは、単にお金の問題ではなく、“自分らしく豊かに生きる”ことだからです。そのために、金融リテラシー向上のための取り組みや、長寿をテーマにしたシンポジウムの開催も検討しています。そして最終的に目指すのは、お客さまが最適な選択を行えるよう、信頼できるパートナーとなることです。私たちは、単なる認知度の向上にとどまらず、一人ひとりの状況や課題を、対話を通じて深く理解し、共に解決策を見つけることで、日本のお客さまとの真の信頼関係を築いていきたいと考えています。

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