第一線のマーケター・クリエイターが明かす、キャリアアップの奥義。今回は、NTTデータのテクノロジーコンサルティング事業本部 テクノロジーコンサルティング事業部 テクニカル・グレードを務める長岡仁さんにこれまでのキャリアについて伺いました。良い転職は、良質な情報を入手することから始まります。「こんなはずではなかったのに…」とならないための、転職情報をお届けします!
Q.新卒で広告業界への就職を目指した理由は?
広告業界に興味を持ったのは、幼少期からのさまざまな経験が影響していると思います。
父が彫刻家だったので、僕にとって表現はいつも生活のそばにあるものでした。一方で、支えが必要な家族がいたため、家族全員でよく福祉施設へ通っていました。その中で、母が状況を前向きに捉え、空気まで変えてしまう姿を間近で見てきました。今で言う「多様性」という価値を、概念より先に体験として知ったのだと思います。こうした原体験が、「見方ひとつで世界は変わる」という価値観を自然と育ててくれました。
福祉の道に進むか本気で迷いましたが、「世の中の前提や見方そのものを変える表現がしたい」という思いが勝り、広告を学ぶことを選びました。大学でデザイナーという職業を知り、さらに深めたいと考え、当時は珍しかったダブルスクールで専門学校にも通いました。そして表現への没頭は一気に加速。就職氷河期でしたが、憧れだった大手広告制作会社に入社できました。
Q.広告制作会社での仕事はどうでしたか?
入社後の配属先は、会社の主軸事業であるテレビCM制作の部門ではなくWeb制作でした。しかし、これが大きな転機になります。当時はFlashが全盛を迎え、広告業界がデジタルへ本格的に舵を切り始めた黎明期。整備が追いついていない領域だったからこそ、挑戦の伸びしろが多く、大手企業の案件や海外の著名デザイン会社との協業など、若手ながらチャンスに恵まれ、濃密な経験を得ることができました。
その中で、受託制作だけでなく、よりエンドユーザーに近い場所でWebサービスやコミュニティといった“価値が生まれる場づくり”に関わる仕事がしたいと思うようになりました。会社は好きでしたが、30歳を前に新たな挑戦を求め、転職を決めました。
次の会社では、受託制作に加えて、動画配信を活用した新規事業に挑戦しました。これまでにない形で価値を届ける経験を通じて視野が広がり、「事業として続く仕組み」も必要だと感じるようになりました。この気づきが、次のキャリアを定めてくれました。
次に入社した会社では、新規事業立ち上げから運営まで携わり、制作・事業・数字が結びついて価値を生む構造を体得していきました。その後、デザインチームの管理職を任され、ここで僕のキャリアは大きく揺さぶられます。社長から「デザインをプロフィットセンターにしたい」というミッションが託され、上流のコンサル領域へ踏み込み、高付加価値の仕事を獲得する仕組みづくりに挑戦しました。慣れない業務に加え、責任も重く、正直これまでで一番きつい時期でした。
しかし、チームで力を合わせたことで、気づけば当初に描いていた以上の環境と成果が実現していました。組織は想像を超える成長を遂げ、自分自身も次のステージが自然と見えてきました。直線的なキャリアでは到達できなかった視座です。僕のキャリアは回り道の連続。けれども、そのすべてが今につながる大切な伏線であり、確かな土台になったと振り返っています。
Q.これまでの経験を経てなぜNTTデータへ?
デザイナーとして培った“視点”、事業開発で得た“視野”、組織マネジメントで磨いた“視座”。この3つがそろったことで、本質に向き合う精度が大きく高まりました。その中で、「今の自分が、クライアントに対峙する現場に戻れば、もっと大きな価値を生み出せる」という確信が芽生えました。
これまで積み重ねてきた回り道のすべてを、いよいよ現場で社会に還元したい。そう思い、2025年4月に、NTTデータのサービスデザイン集団 Tangity(タンジティ)にジョインしました。Tangityは、ビジネス課題をデザインの視点で読み解き、世界と連携しながらテクノロジーで実装し、新たな価値を創出する組織です。自分の経験との親和性が高く、挑戦したいテーマに近いと感じました。
Q.キャリアにおいて大切にしていることを教えてください。
「素直さ」です。変化を受け入れることで、回り道すら力に変わっていく。進むべき方向を更新し続けたことで、自分の仕事の幅は確実に広がりました。
支えが必要な家族と支える家族の姿を見て育った経験から、ずっと「社会の仕組みを良くし、続く形にしたい」と考えてきました。一瞬の大きな喜びも大切ですが、ほんの小さな喜びに気づき続けられる社会こそ理想です。それを、デザイン、ビジネス、そして──テクノロジー。この3つを掛け合わせたサービスデザインで実現していきたい。
これまでの遠回りのすべてが、豊かで調和のとれた社会を目指すNTTデータでの挑戦につながっている。そう強く実感しています。
株式会社NTTデータ
テクノロジーコンサルティング事業本部
テクノロジーコンサルティング事業部
テクニカル・グレード
長岡仁 氏
2002年に大学を卒業後、大手広告制作会社に入社。Webを中心としたクリエイティブを担当。2006年、音楽系制作会社に転職して新規事業を手掛けた。その後、デザインマネジメントなどを展開する会社へ。新規事業担当、コストセンターのデザイン部門マネージャーを経て、プロフィットセンターのデザイン部門のマネージャーに就任。2025年4月より現職。
聞き手
株式会社マスメディアン
取締役
国家資格キャリアコンサルタント
荒川直哉
マーケティング・クリエイティブ職専門のキャリアコンサルタント。累計4000名以上の転職を支援する一方で、大手事業会社や広告会社、広告制作会社、IT企業、コンサル企業への採用コンサルティングを行う。転職希望者と採用企業の両方の動向を把握しているエキスパートとして、キャリアコンサルティング部門の責任者を務める。「転職者の親身になる」がモットー。
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