やみくもに「バズ」を狙うのではなく、「信頼」を積み重ねることを意識する。そんな方針で運営するニッセンのXにおける商品に関する投稿が500万インプレッションを超える反響を生んだ。一貫して“深いつながり”を大切にしてきた、SNS運用15年目の取り組みを、担当者に聞く。
話題づくりではなく信頼と共感を積み重ねる
「エンゲージメントを育てる戦略」とWebで検索すれば、「ターゲットの明確化」「投稿の一貫性」「高品質なコンテンツ」「データ分析の活用」といった定石が並びます。もちろん、いずれも有効な手法です。しかし、Xにおけるニッセン公式アカウントの運用では、それらとは異なる視点を重要視してきました。
「推し活ジャケット」「猫フィール」「多ポケット」といった商品投稿は、500万インプレッションを超える反響を呼び、各種メディアでも紹介されました。一見すると「バズを狙った成功事例」のように見えるかもしれません。しかしニッセン公式アカウントがSNSを通じて目指してきたのは、常に「深い関係の構築」。すなわち、エンゲージメントの強化です。
アカウント開設は2010年。当初から変わらぬミッションは、「ニッセンというブランドを知ってもらい、ファンになってもらうこと」。話題づくりではなく、信頼と共感を積み重ねる運用を大切にしてきました。運用15年目を迎えた今、本稿では一過性の注目ではなく、継続的な関係性をいかにして設計し、育んできたのかを事例を交えながらご紹介します。
SNSは「関係性を育む場」声が自然と届く場所をつくる
スマートフォンの普及とともに、2010年代には多くの企業がSNSマーケティングへ本格的に乗り出しました。ニッセンもその流れを受け、X(当時はTwitter)の公式アカウントを開設しています。
当時のSNSマーケティングにおいては「いかにバズを生むか」が最大の関心事でした。拡散力のある投稿が商品完売に直結し、SNSはプロモーションの主戦場として注目を集めてい...