生成AIの台頭により、業務の効率化が実現するとともに、メディアの在り方や、企業と人の接点の作り方をも変えるような大きなインパクトが予測されます。マーケターは、これらの技術をどのように受け入れ、業務に活かしていけばいいのでしょうか。23回目となる今回は、AI時代の情報探索と最適化戦略について、富士通の山根宏彰氏が解説します。
ゼロクリック検索の台頭と情報消費行動の変化
前回は概念的な話であったが、実務的な話に戻りたい。ここ20年ちょっとで、ビジネス・プライベートを問わず必須となったインターネット上での情報収集。特に検索エンジンの現在の状況と展望を、前半・後半の2回に分けて書いていきたい。
現代の検索エコシステムは、従来の想定をはるかに超える速度で変容している。Semrush傘下のDatosと、SparkToroによる2024年の共同調査によれば、検索結果からWebサイトへの訪問を伴わない「ゼロクリック検索」は、2024年において米国では58.5%、EUでは59.7%に達しており、検索の約6割が検索結果ページから一切クリックされることなく終了している。
さらに、1000回の検索のうち、米国では約640回もの検索で、ユーザーはGoogleが所有している検索結果ページから離脱せずに必要な情報を入手していることが明らかになった。この調査はクリックストリームデータを用いた広範な分析に基づいており、検索行動の包括的な変化を捉えている。
この現象を牽引しているのが、Googleが提供する「AIによる概要(AI Overviews)」などのAI検索機能だ。Googleの公式ブロ...