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ファンに共感される企業の振る舞い「推し活」とマーケティング

推しに染まり当事者として楽しむ データで見る、音楽ファンの推し活実態

  • 加藤陽平氏(博報堂)

「推し活」という言葉はすっかり一般化しているように思えるが、実際に日々推し活に勤しむ人たちの姿を具体的にイメージできるだろうか?博報堂DYグループ「コンテンツビジネスラボ」の加藤陽平氏が、音楽ジャンルに焦点を当て、「コンテンツファン消費行動調査」から紐解く。

※「コンテンツファン消費行動調査2022」
調査対象:6000サンプル/年齢:15~69歳(全国7エリアを性年代別人口構成比で割付)/調査手法:インターネット調査/調査期間:2022年3月8日~18日

「推し活」に積極的な音楽ファン 20代以下の女性がけん引

博報堂DYグループでは毎年「コンテンツファン消費行動調査」として、映画やアニメ、マンガやスポーツなど、11のジャンルに分けてファンの行動を調査しています。

中でも近年、特に目立った動きが見られるのが音楽ジャンルです。最新の2022年の調査では、1年間に何らかの音楽コンテンツを利用した人のうち、過去最高の21.4%が「ファンクラブを利用した」と回答しました。音楽ファンの5人に1人がアーティストやアイドルなどを応援するコミュニティに加わっていることになり、まさに「推し活」的な行動が高まってきています。

本稿ではそんな音楽ファンの「推し活」の特徴を見ていきたいと思います。本調査は「推し活」だけを直接聞く設問はないのですが、ここではほかに比べて際立ってお金を多く使うファンを「推し活層」と定義して、音楽ジャンルへの支出額上位10%の特徴を見てみます。

支出額は年間14万7143円と、他のジャンルの支出額上位10%と比べても高水準で、月に1万円以上は使っていることになります。性別・年代を見てみると、女性20代が最も多く20.8%、次いで女性10代(15~19歳)が12.1%と、およそ3分の1が20代以下の女性で占められています。

特徴的なのがSNSの使い方です。サービスごとに複数のアカウントを持つことはもはや珍しくないかもしれませんが、「推し活層」では3個以上使いこなす人が少なくありません。 Twitterのアカウントを3個以上持っている人が35.7%で全体平均の倍以上(全体比+20.5pt)。Instagramのアカウントを3個以上持っている人も19.4%(+7.5pt)と、5人に1人の割合に上ります。

アカウントを使い分ける最大の理由は「自分の知りたい情報や流行を知るため」(Twitter54.9%(+22pt)・Instagram40.3%(+11.1pt))で、推しの情報を誰よりも早く得ようとしているのかもしれません。さらに...

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ファンに共感される企業の振る舞い「推し活」とマーケティング

モノには執着しないと言われる若年層でも、「推し」にかかわる「コト」の消費には積極的と言われます。ファン心理は、具体的な消費行動にもつながりますが、無償の愛とも言える、その熱量は社会を動かす大きなパワーともなりえます。表面的な企業コラボにとどまらず、この「熱量」をもっと"マーケティング的な行動変容"に生かす方法があれば、成熟した日本社会の次なる成長のヒントも見出せるのではないでしょうか。ファンによる無償の愛、定量化しづらい、その価値を日本ならではの文化の中で語ると同時に、企業マーケティングへの活用の可能性を考えます。