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「嫌われない広告」の形とは?アドエクスペリエンスを考える

「たしからしさ」を高め「分かち合い」を大切にすれば広告は「善き隣人」となる

  • 山本直人氏

デジタル広告へのマイナスな意見は、インターネットを使い慣れている若年層からも集まっている。広告が再び本来の魅力を取り戻すために、広告制作に携わる人々はどのような意識を持つとよいのか。広告・マーケターの人材育成に精通する山本直人氏が解説する。

コンサルタント/青山学院大学講師
山本直人氏

1986年慶應義塾大学法学部政治学科卒業。博報堂のコピーライター、主席研究員、ブランドコンサルタント、人事局ディレクターを経て2004年より現職。多くの企業にてマーケティング、ブランディング、および人材育成トレーニングをおこなう。著書に『数学的に話す技術・書く技術』(共著)『グッドキャリア』『マーケティング企画技術』他多数。

学生からも批判的な意見が 疎まれる広告の理由

いきなり雑駁な表現になるが、「目立つ」ということは批判の対象になりやすい。広告の主たる目的のひとつが認知向上であるのなら、何らかの批判にさらされるのもまた宿命なのだろう。とはいえ、最近大学生と接していて気になったことがある。

ひとつは、昨年あたりから一部のデジタル広告の表現について手厳しくかつ的確な指摘が目立つことだ。もっとも典型的なのは脱毛や美容形成の広告で「過度な煽り」が見られるということである。「外見がすべて」であるかのような差別的価値観が強調されれば、学生が批判的意見を持つのも当然だろう。

もうひとつは、それが未成年も多く接する動画メディアなどで多く出稿されていたことへの疑問が呈されたことである。このことは、現在のデジタル広告の置かれた問題を端的に表しているのではないだろうか。

ひとつ目は、広告メッセージが「まやかし」ではないか?という疑問であり、2つ目は、広告出稿における「まとわりつき」の問題だと考える。「まやかし」と「まとわりつき」という2つのキーワードから、まずは現在の広告の状況を分析してみようと思う。

「まやかし」と「まとわりつき」はなぜ起こるのか

広告表現が「虚偽」ではなく、「まやかし」であると書いた。虚偽表現であれば法令等による規制や取締りがある。ただし、問題の所在は少々異なるのではないか。「まやかし」という言葉を辞書で引けば「ニセ」という意味であることがわかる。

ところが、手品のようなものも、また「まやかし」と表現されることがある。たしかに手品というのは、人を惑わせる。どこかには「タネ」があるのだから、見せられているものは真実とは限らない。しかし、それでも人は楽しむ。

同様に、広告表現自体は受け手の読解力を前提にした上で、製品やサービスの効用を表現しているのだ。

家を購入すれば家族が幸せになり、テーマパークに行けばカップルが結ばれ、酒を飲めばいい気分になり、猫と暮らせば癒される。そういう広告表現があったからといって、必ずしも現実がそうなるわけではない。まあ猫については正しい気もするが。

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デジタル広告を中心に、広告に対して「怪しい」「鬱陶しい」といったネガティブな意見を持つ生活者が増えている現在。問題のある広告はごく一部であっても、「広告」という存在そのものに対してマイナスのイメージを持たれてしまうことになれば、すべての広告主に関わる課題となります。ユーザーが求めている情報、能動的に「見たい」と感じる広告とはどのようなものなのでしょうか。本特集では、この課題を広告業界全体のものと捉え、多様な立場の実務家や有識者にユーザーにとっての最適な「アドエクスペリエンス」という観点から、広告の在り方を考えます。