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デジタルだけでブランドはつくれるか?

「おせっかい」と「共創」をテーマに 丸亀製麺のブランディング戦略

  • 南雲克明氏(丸亀製麺)

6月29日、インターブランドジャパンのグループの一員であるC Space Tokyoは顧客体験価値(CX:Customer Experience)のランキングを発表。1位に輝いたのは丸亀製麺で、昨年の16位から大きく順位を上げた。飲食業界にとって苦境の時期のコロナ禍で、顧客体験を向上させるどのような取り組みが行われていたのか。

店舗の滞在時間は20分程度 店舗外での丸亀体験が重要に

インターブランドジャパンのグループのC Space Tokyoが6月末に発表した2022年の顧客体験価値(CX:Customer Experience)ランキングの1位に輝いたのは丸亀製麺。2位は星野リゾート、3位はANAと続くランキングで低価格帯の飲食チェーンが1位に輝いた背景にはどのような戦略があったのだろうか。

丸亀製麺では、「ここのうどんは、生きている。」のキャッチフレーズで、すべての店舗で粉からつくった打ち立てのうどんを提供する価値を訴求してきた。南雲氏は「ここ数年はこのキャッチフレーズでPOD(Point of difference)起点の発信をしてきたが、コロナ禍において、さらにブランディングを多重構造にするべきではないかと考えた。具体的には、当然備えるべき必須要素を1層目に、PODを2層目に置き、さらにその上に共想・共創をテーマにパーパスを起点とするブランドの姿勢を打ち出すべきではないかとの考えに至った」と話す【図1】

図1 丸亀製麺のブランディングの多層構造

機能だけでなく、情緒的な価値である「共想・共創」を感じてもらう場は、当然ながら店舗だけにとどまらない。デジタル接点であるアプリやSNS、さらに「株式会社TOKIO」と連携した「うどんで日本を元気にプロジェクト」などの活動まで、すべてを含めて丸亀製麺の顧客体験として一貫性を持たせていく。店舗が重要であることに変わりはないが、顧客体験価値ランキングで1位になった背景として、南雲氏はこうした全社的なブランディング戦略の転換があったのではないかと語る。

「店舗の滞在時間は平均で20分程度。それゆえ丸亀製麺のブランド体験を考えるうえでは、店舗外での体験が重要になる。コアファンの方はアプリやSNSでつながってくださるが、それ以外の方にも『いつも丸亀製麺は面白いことしているな』『なんか良いな』と感じてもらいたい」と南雲氏。

そこで、テレビCMを始めとする広告だけでなく、株式会社TOKIOとの様々な取り組みや今年4月の香川県丸亀市との間で「地域活性化包括提携協定」を結ぶなど、「小さな情報から大きな情報まで、PR発信を強化している」のだという。南雲氏いわく「PR活動は質も大事に...

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デジタルだけでブランドはつくれるか?

ネット広告を使い、オンラインチャネルでの販売で成長を遂げる新興ブランド。BtoB、BtoC問わず、こうしたブランドはある一定の規模まで成長した際、テレビCMやリアル店舗など、デジタル以外の手段を採用するケースが多くあります。成長のステージにおいて、『デジタルだけ』では限界があるのでしょうか。一方で国民的な認知を持つ大手企業は、逆に顧客との接点を従来のオフラインチャネルからデジタルへとシフトさせています。はたして、ダイレクトでパーソナルなコミュニケーションが強みのデジタルチャネルで、これまで培ってきたようなブランディングは実現可能なのでしょうか。ライフサイクルのステージ別に異なる論点が見えてくる「デジタルだけで、ブランドはつくれるか?」という課題について、有識者の皆さんと考えます。