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『瞬間消費』時代の「広告」と「販促」

「家と会社の往復」だけじゃない ユビキタス時代の『4G』のマーケティング

  • 上木原弘修氏(アゴラ)

デリバリービジネスなど、物流の革新により多くのサービスが生まれ、生活に浸透している。人々の生活スタイルが変化する中で、物流革新はマーケティングにどのような影響を与えたのか。マーケティングコンサルタントの上木原弘修氏に聞いた。

Point

☑コロナ禍による「生活のユビキタス化」で生まれたマーケティングトレンド。

☑メーカーや流通と物流の双方の視点を生かしたマーケティングのフレームワーク「4G」。

21世紀に生まれた4つのマーケティングトレンド

思い立ったときにすぐに買えるだけでなく、モノがすぐに(かつ好きなところに)配送されれば消費の魅力はより高まります。現在はデリバリービジネスの革新により、それが実現しています。本稿では、物流の高度化で生まれた新しい消費像とマーケティングへのインパクトについて考えます。

Uberや出前館などのフードデリバリーが大きく伸長しています。2021年には宅配スーパーOniGOも登場しました。世界に目を転じると、フードや食料品領域以外にもデリバリーの波は広がっています。このビジネスの伸長の背景に、ハイスピードで効率的な物流の革新※1があります。その結果生まれたマーケティングトレンドをまとめると次の4つとなります【図表1】

※1 詳細は東京大学 先端科学技術研究センター 先端物流科学 寄付研究部門HP(http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/logistics/wp/)を参照。

図表1 21世紀のマーケティングトレンド

①生活者ダイレクト

メーカーが店舗を経由せず、ダイレクトにユーザーとつながることができるようになっています。

②デリバリーのパレット化

中国のデリバリー企業UU跑腿では、食料品の配送だけでなく、ペットの世話や家具の設置、家事代行、出張代行など幅広い業務を行います。インドネシアのGojekは、Go-Food(食品配達)に加えて、Go-Ride(バイク手配)、Go-Car(配車手配)、Go-Shop(買い物代行)、Go-Massage(マッサージ師手配)と複数のサービスを行っています。デリバリーが、パレット化しています。

③サービス・コネクテッド

交通システム領域で進むMaaSですが、フィンランドのMaasアプリ「Whim」が注目されています。これは、地下鉄、バスやタクシーなどの交通機関に、カーシェアリング、レンタルサイクルなども加えて、ワンストップで移動ができるアプリです。利用するには出発地から目的地までを検索し、好きな移動手段を選ぶだけで予約と支払いが完了。移動手段の組み合わせもできます。料金はポイント制で複数のプランの中から選ぶことができます。複数のサービスやモノを連携させるサービス・コネクテッドです。

④アドレスフリー・タイムフリー

場所や時間を自由に選んでモノやサービスの提供を受けることができ、自宅だけでなく、出先でサービスを受けることができます。UU跑腿は受験会場に待機して、受験票を忘れた学生の代わりに受験票を自宅まで取りに行くというサービスもやっています。

従来はモノの購入は(ECを除けば)、お店に行ってモノを購入し、自宅に持ち帰るというのが一般的でした。しかし、いま世界で行われていることは、「1.店に行かずに購買する」、「2.モノを必ずしも自宅に運ばず、必要とする場所で消費する」ということです。

例えば、名店のスイーツや紅茶を届けるサービスがあれば、どこでも手軽にお茶会ができます。お酒やバーベキューセットのデリバリーがあれば...

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この記事が含まれる特集

『瞬間消費』時代の「広告」と「販促」

マーケティング・コミュニケーション活動においては、長らく認知獲得を目的とする「広告」と購買の最後の一押しをする「販売促進」の役割分担がなされてきました。しかしスマホとSNSの浸透により、商品を「知る」タイミングで瞬間的に「購入」が発生するケースも生まれています。それでは認知から購買までがシームレスに起きる、『瞬間』的な消費行動が浸透している時代、「広告」と「販促」はどのような役割分担にあるべきなのでしょうか。「広告」と「販促」あるいは「宣伝部」と「販促部」を分けて考える必然性はあるのでしょうか。『瞬間』的に消費が起きる時代、さらには小売店を介して商品を販売するBtoBtoCモデルのメーカーであっても、顧客とダイレクトにつながることができる現代。改めて「広告」と「販促」それぞれの役割の定義を考えます。