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ソートリーダーシップという戦略視点 『いち企業』から『業界の先導者』へ

  • 本庄加代子氏(東洋学園大学 現代経営学部 准教授)

潜在的にある社会の課題を発見し、その課題に対する解決策を提示する中で、企業としての社会に対する姿勢を提示する「ソートリーダーシップ」戦略。従来、使われてきたビジョンや理念といった概念と何が違うのか?これまでの経営戦略との違いについて、経営学を専門とする、東洋学園大学現代経営学部の本庄加代子准教授が解説する。

商品・サービスの機能だけでなく 社会に対する姿勢が問われる時代

「もし、あなたの会社がこの世からなくなったら、困る人はいますか⋯?」。

初めからセンセーショナルな質問を投げつけてしまったが、あなたの会社の価値をはっきりとさせるためには、この質問に答えられなければならない。

もし、この質問の回答が曖昧であれば、競合との差別性、市場で生み出す付加価値、そして社会における意義といった視点において、自社の存在感は薄いかもしれない。あるいは、社会や市場から必要とされていないのかもしれない。

“市場から必要とされていない”とは、消費者があなたの会社の商品に対して「この商品じゃないといけないの⋯」ではなく、「なんでもいいのだけれど⋯」という気持ちで選ばれている状態のことである。この状態に陥れば、市場のデキレースにさらされ、価格競争を余儀なくされ、商品はコモディティ化し、自社の存在意義や価値を考える余裕さえなくなってしまう。

しかし企業自らが、顧客が求める社会課題を積極的に設定し、その解決に資する理念や思いを商品サービスに乗せることができれば、おのずと市場における付加価値を“生み出すことができる”のではないだろうか。もちろん、その課題や解決手法が世の中に受け入れられ、世論や市場の“常識”にも影響を与えるほどの力が必要となるが、それらをも席巻するほどの大胆な発想転換に基づく戦略手法が、ソートリーダーシップと呼ばれるものである。

ソートリーダーシップ戦略とは、主に社会的課題や特定のテーマに対して、企業がその解決策となりうる「主張、思い、理念など(=ソートThought)」を掲げ、取引先や顧客、はたまた社会全体からの世論における共感と評判を生み出す戦略手法である。決して新しい概念ではなく、日本では2008年ごろから、ちらほらとメディアに露出している言葉である。

いま、再び注目される背景には、SNSの浸透による消費者の社会的意識の高まりがあるだろう。誰もが容易に情報を得られるようになり、また個人が意見を発信する機会が増加したことで、SDGsをはじめとする環境問題、経済格差、企業の不祥事など...

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