アース製薬は社会と企業の共通価値を創造するCSV(Creating Shared Value)を事業活動の柱として、商品の開発・販売やプロダクトを通じた社会貢献活動を行っている。商品の機能性だけでなく、企業の社会に対する姿勢も消費者が商品選びの判断基軸とする時代、企業価値を高める社会貢献活動がどう商品のマーケティングと連携していくのか。

アース製薬は、10月29日に、オープンイノベーションで開発するMA-T技術を応用し、感染症対策のための新たなソリューションを2030年までに開発する旨の宣言を行った。
出典:WELCO Lab for Global Health ウェブサイト
虫媒介の感染症リスクが拡大 本業を通じて社会課題に挑む
近年、「環境」「社会」「ガバナンス」(ESG)への取り組みなど、社会に目を向けた動きが企業の価値を測る重要な指標になってきた。
虫ケア用品や入浴剤等のマーケットシェアトップを誇るアース製薬は「業界のリーダーとして、社会をより良くするために率先して動かなければならない」という信念のもと、社会貢献活動を積極的に行ってきた。
同社執行役員 グループ経営統括本部経営戦略部 部長の郷司功氏は、アース製薬にとって、ESGなどの社会に貢献する取り組みはプロダクトの開発や販売と密接に関わり、同社では社会と企業の双方に価値を生み出す「CSV経営」が重要視されているという。
昨今、地球温暖化に伴う虫の生息域の拡大や外来生物の増加により、虫が媒介する感染症のリスクが世界的に増大している。アース製薬では、虫ケア用品の開発・販売を通して、虫を媒介して罹患する恐れのある感染症の予防や対策に貢献。更に、モンダミン等のオーラルケア用品も取扱っており、口腔環境に起因した疾病リスクを社会課題として捉え、学会や歯科医とのネットワーキング強化や、セミナー開催による生活者への啓蒙活動を積極的に推進している。
郷司氏はこのCSV推進の方針は社内にも浸透していると話す。
「社長の川端(川端克宜氏)が、社内外に対してCSVに取り組む姿勢について積極的に発信していることの影響が...