事業目的の達成のために必要な、固定概念に囚われないメディア選び

公開日:2020年12月01日

  • 新井英成氏(ソフトバンク)

テレビや新聞、デジタルといった複数のメディアを統合した大規模なコミュニケーション施策により話題を創出し続けてきたソフトバンク。同社が考えるそれぞれのメディアの役割、コミュニケーション効果を最大化するメディアの活用法とは。コミュニケーションデザイン部部長の新井英成氏に聞いた。

ソフトバンクでは、メディアの特性を踏まえ、目的に合わせた手法を垣根なく選んで組み合わせ、最適なコミュニケーション活動を行っている。

複数メディアを組み合わせ 統合的な戦略を設計

常にユニークなクリエイティブと新しいメディアの使い方で話題を生み出し続けてきたソフトバンク。そのなかでも2020年、大きな話題になっているのが、嵐とコラボしたキャンペーンだ。このコラボのひとつに7月からスタートした、嵐とファンが嵐の人気楽曲「Love so sweet」を合唱する「バーチャル大合唱」プロジェクトがある。

本プロジェクトは、一般のファンから「Love so sweet」を歌う動画を募り、バーチャル空間上で嵐の振るタクト(指揮棒)のもと、嵐の歌声と融合させ大合唱に仕上げる「バーチャル大合唱」の映像を制作し、その映像を8月上旬にテレビCMとして放送するという企画だ。

この企画の目的は、「5Gの普及」。ソフトバンクが提供する、サービスである「5G LAB」を知ってもらいたいという狙いがあった。

5Gという新しい技術、新たな取り組みを、広く多くの人に訴求するため、最終的にはテレビというメディアを活用してCMを放送することに。ただし、ファンからの動画を募集する際には、その募集を見た人がそのまま行動に移しやすいよう、デジタルを活用して呼びかけを行ったという。

さらに、CMの放映開始と同時に嵐が出席するイベントも開催。5G技術の特性を生かしたVRやFR(音楽ライブやダンス、スポーツなどを色々な視点から視聴できる技術)を嵐に体験してもらうことで、メディアから取り上げられやすいよう話題を創出。

最終的にメディアによるイベント内容の発信を見た視聴者が興味を持ってインターネットで調べると...

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