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コロナ禍で見直す企業理念

いま必要なのは、パーパスからのブランド・モード・シフト

  • 森 一彦氏(関西学院大学専門職大学院)

新型コロナウイルス感染拡大で加速する<持続可能性>に対する脅威。「少し先の未来こそが何百年後への分水嶺であることに皆が気づき始めた」と語る森一彦氏が、激しく未来が到来する現在の中でブランドの持続的成長の方向性を解説する。

インダストリー・イノベーション 迫られる事業価値の再編

新型コロナウイルスは、リアルな価値提供の「場」に人を引き込む〈プレース・ベース〉から、デジタルを介して解決や価値を「ユーザー」に届ける〈アクセス・ベース〉へと私たちの社会構造を塗り替えつつあります。

すでにUber、Airbnbなど、いわゆるシェアリングエコノミーの文脈で生まれていたアクセス・ベースは、デジタルトランスフォーメーション(以下、DX)の加速とともに産業の輪郭を崩し、異なる産業がつながり合うエコシステムを生みつつあります。

例えば自動車産業はCASEという変革からMaasというエコシステムへとクルマ、交通、都市環境とその輪郭は広がり、トヨタがCESで発表したe-Palette(2018)はWovenCity(2020)へとその構想規模が拡張し、日本ではAIやビックデータが活用されるスーパーシティ法案が成立に至りました。

医療でも遠隔医療、ゲノム診断など〈アクセス・ベース〉で医療ソリューションが高度化する一方で、ウェアラブルデバイスによるバイタルデータが運動、美容などの領域とつながるヘルスケア・ネットワークが急速に拡張する兆しがあります。産業全体でイノベーションが連鎖し、産業の垣根を越えてサービス化へのエコシステムを生み出す動きを“インダストリー・イノベーション”と呼ぶならば、この加速により企業は事業価値の再定義を随時迫られることになります。

データやAI、アクセス・ベースを中心としたビジネスでは、サービス価値からの事業規定が迫られるからです。

そこでは、自社のモノだけの提供ではなく、顧客を中心として異なる産業の価値や機能がAPI等により束ねられて、新しいサービスフレームから提供されます。その中で、私たちは生業(なりわい)の再編に直面しているのです。

ソフトウェアが飲み込む社会 事業価値の捉え方への発想転換

事業価値の再定義で重要なのは、価値創出への発想を変える点です。そこではサービスドミナントロジック(SD-L)や価値共創の概念が極めて強く反映されます。従来の「生産者―消費者」という概念は...

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この記事が含まれる特集

コロナ禍で見直す企業理念

社会が変わり、かつテクノロジーの進化・消費が激しい時代においては、いま現在、提供している商品・サービス、さらには創業時の業態を起点とする社会における存在意義の定義だけでは環境変化に追いつけない状況も生まれています。特にコロナ禍においては、営業自粛をせざるを得ない外食産業、観光客を積極的には呼び込めない観光産業、人の移動が減り、利用者が減少する交通インフラ産業など、雇用を維持し、企業を継続させるため、自社の資源や社員の職能を活用し、新たな事業開発をする必要が生まれています。では、創業時から事業が変化していく企業において、理念は創業当時から変わらないままでよいのでしょうか。事業変革に際し、企業理念を見直す必要性、また必要となる場合には、どのように見直せばよいのか。企業の実例をもとに考察していきます。