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ディレクションをしないクリエイティブディレクション 本音で語れる仲間になり、クリエイターを信頼する

公開日:2020年5月20日

  • 田村俊樹氏(パナソニック)

    クリエイティブ・ディレクションの極意

  • 広告会社をディレクションしようとしない。自己を知り、相手を見ることから始める。
  • 安心できる「芯」に夢をプラスワンした「新」がある企画が、チームをまとめる。
  • プロジェクト単位ではなく、「この人に頼めば安心」という信頼できるクリエイターに依頼する。

ディレクションしようと思わない 「問いかけ合い」から始めよう

まずもって、私のような人間がクリエイティブディレクションの極意、なんぞを語るのは非常におこがましいと思っています。よって、本稿はあくまでそれなりに経験を重ねたおっさんの戯言、と思って気楽にお読みいただければと思います。

広告主としてのクリエイティブディレクションとは……。私自身は最初からクリエイティブのディレクションをしよう、と思って仕事をすることはありません。「問いかけ合い」だと思っています。オリエンもプレゼンも、企画決定も発信自体も。オリエン前の社内取材もそうかもしれません。きれいに言えば「人がいるから始まる対話」がディレクションの第一歩、でしょうか。だから、あえて言えば人を見ることから始めます。

もちろん人を見る前に、己を知る・自分の会社を知ることが前提です。まずは自分が考える、それを相手に問いかけ、その人を見る。商品・広告も人も、第一印象がかなり大事だと思っています。見た目ではなく、反応や振る舞いのことですよ。相手も見ているでしょうから、まずは柔らかく、徐々にお互いを出し合うイメージで対話し、仕事を始めるようにしています。

クリエイターと本音で語れる仲間になる

クリエイティブは共同作業ですから、いかに思いをひとつに……流行りの「ONE TEAM」、仲間になれるかが大事だと思っています。だから私は、「社内よりもクリエイターの皆さんの仲間ですよ!ビーム」をまずは出します。それは社内愛を語りつつも、社内にある課題を自分ゴトとして伝え共有し、皆さんが言いづらいことを先に言うことで、「あ、この人ただの発注者ではないな、ちょっと言いたいことを言ってみよう」という空気をつくるイメージです。

そういったやりとりの上で、ひとつの目標を導き、向かう終着点をスタート時点で決めて、共有するように心がけています。そのためには自分自身がモノに、人に、仲間に、愛をもつこと、自分なりの思いやアイデアを出して乗ってもらうことが最初に必要になると思います。広告はラブレター、と言う人がいますが、ディレクションもラブレターではないでしょうか。一方的ではだめ。相手を好きになり、かつ自分を信じてもらい「本音で語れる」場をつくる。そのあたりがとても大事なのではないでしょうか。

もちろん一対チームになりますので、「一」である私がしっかりすること、そしてそれぞれのスタッフの良いところをいかに発揮しやすい環境をつくるか……が私たち広告主には必要だと思います(私ができているかどうかは、スタッフの皆さんに聞いてください。笑)。

スタートも重要だがスタート前がもっと重要

目指すクリエイティブの共有は最初が重要です。最初に思いを共有するには、接する前のこちらの準備が重要だと思います。オリエンもアウトプット同様「共感や発見があり、シンプル」でなくては伝わらないと思います。誰に何を提供してどうなっていただきたいかをシンプルに語れるかということです。課題や良いところを自分ゴトにして、問いかけ合えるかが重要でしょう。意見を聞く際は、否定から入らないようにします。

当社では、基本的には競合コンペはしません。パナソニックの商品は、人のくらしに寄り添ったものばかり。新商品や新機能は出てきますが、提供したい根底の人の幸せは変わりません。だからこそ、私たちもクリエイターも一消費者の視点でモノを見ることを大事にして、思いを共有し、共感を強める。それを展開の軸にして、そこから始まるストーリーを考える「チーム意識」を醸成したいのです。さらに長く関わっていただくことで、次のモノづくりへのヒントをクリエイティブしていくことも理想にしています。

図1 企画をつくるときの基本的な考え方(パナソニックの場合)

「芯」と「新」があれば企画自体が独り歩きできる

企画時は、「シンプルに伝える」という物理的なところに少しでも夢を加えることで、みんなの意識をひとつに、前向きにしたいと心がけています。こんなことができたらいいな、という思いが強いほど、一丸性や前向きさは強くなりますよね。その上で、一緒により良くする努力を始め、クリエイティブ発揮の流れをつくります。

広告主も、夢は欲しい。でもまずは安心感が欲しいわけです。安心できるクリエイティブ・展開の「芯」を定め、そこにここまでできたら最高だよね、という夢を加える。さらにプラスワンのアイデアが加わると、最強です。

プラスワンは...

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テレビCMからソーシャルメディアの投稿まで、消費者との接点が格段に増えたことで、おのずと広告・コンテンツ制作が必要とされる場面も、そのバラエティが広がっています。担当者自らに制作スキルが求められるもの、外部のパートナーのディレクション力が求められるものがありますが、本特集では双方を織り交ぜながら、特にアウトプットの完成度を高める実践的ノウハウ・考え方を解説していきます。