近年、「顧客」と「企業」の関係が大きく変わりつつあるように、採用市場においても、「人材」と「企業」の関係が大きく変化していると、Indeed Japan マーケティングディレクターの水島 剛氏は話す。その変化に対応するための採用手法として、同社が推進している「オウンドメディアリクルーティング」を水島氏が解説する。
求職者に起きている「2つの変化」を捉える
「自社の運営するメディア(採用サイトほか)を軸に、高付加価値人材に自社主体で直接メッセージを発信し、共感を喚起することで人材獲得につなげていく能動的リクルーティング手法」、これがオウンドメディアリクルーティングの定義となります。
高付加価値人材とは、自社の企業姿勢・事業・仕事内容に対する理解・共感を持ち、自社の事業推進を加速してくれる人材を意味しています。企業が主体的に自社の情報を発信し、透明性を高めることは、そうした人材に自社を「見つけてもらい」「共感してもらう」ことにつながります。このような働きかけが、なぜ今必要とされているのでしょうか。それには2つの要因があります。
ひとつは、求職者の「選職リテラシー」が急速に進化していること。優秀な人材ほど、情報収集のリテラシーが上がっており、あふれる情報の中から自分にとって「無意味な情報」を排除し、「有益な情報」を鮮度高く収集しています。企業の“売り込み”ではなく、実際に働いている人のリアルな言葉など、自分にとって信頼できる情報を集めているのです。
検索行動においてもこの傾向は顕著で、詳細なワードを複合的に掛け合わせた高度な検索を行い、情報の海から自身に必要な情報を最短で抽出しようとする傾向が見られます。たとえば以前は「エンジニア×東京」など、職種と勤務地などのシンプルな掛け合わせだった検索キーワードが、「エンジニア×データ分析×金融×東京」のように先鋭化し、自分の言葉で仕事を探すようになっています …