これまで宣伝会議で連載してきた「ロングセラーブランドのコミュニケーション戦略」から一部を抜粋し、取り組みをまとめて紹介する。
2014年12月号~2016年4月号掲載分を再編集。情報は、掲載当時のまま。
明治「CHELSEA(チェルシー)」
ブランド若返り突破口に「プレミアム」版を発売

1971年に発売された「チェルシー」は日本初の「流し込み製法」を採用し、なめらかさと濃厚なコクのある味わいを実現した。明治によると認知率は90%以上と高い同商品だが、コアユーザーがキャンデーのメインユーザーである30~40代女性よりも10歳ほど高く、若年層への訴求が課題となっていた。
濃厚でコクのある味は守りつつ、若年層の獲得に向け2015年に発売されたのが、「プレミアムチェルシー」だ。若い世代への売れ行きも上々なうえ、従来のチェルシーの売上もアップ。「認知率の高さもあり、新しいタッチポイントに刺激を受けると、久々に食べてみようかなと思ってもらえるようです」(菓子マーケティング部専任課長 吉田彰氏)。今後は従来のチェルシーとプレミアムチェルシーの2路線で、幅広い層に愛されるブランドを目指す。昨年は東京スイーツコレクションとタイアップし、人気パテシエがつくる、チェルシーを使ったオリジナルスイーツなどが当たるキャンペーンを実施。今年は2月3日からサンマルクカフェとコラボした「プレミアムチェルシーチョコクロ」を期間限定で販売しており、好調な売れ行きをみせている。
参照記事 2016年4月号 「スコットランド伝統のおいしさチェルシーのブランド戦略」
ロッテ「ビックリマンチョコ」
多種多様なコラボで、新規顧客を開拓

ビックリマンチョコが発売されたのは1977年。当初はお札が落ちているように見えるドッキリシールなど、いたずらやギャグなどの貼って楽しめるシールを封入していたが、次第に売上は低迷。そこで起死回生の切り札として開発されたのが、1985年に発売され、大ブームを巻き起こしたビックリマンチョコ「悪魔VS天使シリーズ」だ。シールにゲーム性とストーリー性を持たせた発想は、当時斬新だった。
そして2012年には、特設サイトのファン投票で選ばれたキャラクターと、企画のために新しく書き下ろしたシールを含めた42種類の復刻版シールを封入し、ブーム再来のきっかけを作った。その後も、「ももいろクローバーZ」や、「モンスターハンター」、ソーシャルアプリゲームの「パズル&ドラゴン」とゲーム内でコラボするなど、若年層を中心にWeb上での拡散を狙った施策を展開。30周年を迎えた2014年にはビックリマンPR大使のマリーンズの里崎智也選手(当時)がキャラクターになった限定シールの配布や、ビックリマン原画展などを開催した。現在も精力的にコラボを行い、新規層の取り込みを行っている。
参照記事 2015年1月号 「お菓子の枠を超えた「ビックリマンチョコ 悪魔VS天使シリーズ」」
ダイドードリンコ「ダイドーブレンドコーヒー」
アイトラッキングによる科学的な分析アプローチで売上UPを

ダイドードリンコは1970年代の高度経済成長期、工事用車両のドライバーなどをターゲットに、新規事業としてダイドーブレンドコーヒーの前身「ダイドージャマイカンブレンドコーヒー」を販売。1975年、大同薬品工業は売上が伸長していた清涼飲料販売事業を分社化し、ダイドードリンコの前身となるダイドーを設立。商品名を「ダイドーブレンドコーヒー」に改名した。その後、流通の主軸を自販機に置く戦略で、市場を開拓していった。しかしここ数年、缶コーヒーの売上は下降にある。
そこで、同社は最大の販促ツールでもある ...