クリエイター、メディア、広告主、研究者という立場を経験した岩崎達也氏が考える、「広告のコンテンツ化」の先に起きることとは? 映像制作の現場や研究結果を踏まえ解説します。
「広告をコンテンツ化」する組織
一昨年、私は日テレアックスオンの社内に「コミュニケーションデザイン部」(現「営業開発部」)という組織を立ち上げ、CMやインフォマーシャルに特化していた組織から、映像コンテンツ全般をコミュニケーションツールと捉える部隊を発足させた。いわば、広告をコンテンツ化する試みである。
広告主は、テレビCMのリーチに期待しつつも、パブリシティも含めいかに番組の流れの中で訴求力の高いコミュニケーション活動ができるかを求めていた。そういったニーズを実現するための動きである。2011年に「カンヌ国際広告祭」(※1)から「広告(Advertising)」という言葉が消え、いま「広告とは」を問い直す時代の流れの中にある。
振り返ってみれば、私はこれまで広告に関するほぼすべての立場を経験している。広告会社のクリエイターから出発し、メディアに移り、宣伝部時代には広告主の経験もした。そして、現在は研究者の立場でもある。そこで本稿では広告コミュニケーションにおけるさまざまな角度から、広告の今とその(少し)先を考えてみたい。