企業と生活者をつなぐSNS。その影響力は拡大する一方で、プラットフォームの仕様やユーザー行動は絶えず変化している。今、広報担当者が知っておくべき現在地とは。SNSを正しく理解し、広報活動に活かすための視点を共有する。
企業によるSNS活用は現在、業界を問わず当たり前のものとなっています。しかし、SNSを取り巻く環境は絶えず変化しており、企業広報のコミュニケーション手法も変化を迫られています。
新たなSNSプラットフォームや新機能が次々と登場する中、日々運用にはげむ広報担当者にとっても、従来の経験だけでは対応が難しくなっています。
本記事では、SNS利用者の行動が時流によってどう変容したか、SNSプラットフォーム側で起きているポリシーやアルゴリズムの変化、そして今企業広報が押さえておくべきSNS戦略のポイントについて解説していきます。
生活者のSNS利用の変化
この10年余りでスマートフォンと通信インフラが飛躍的に発達し、SNSの使われ方も大きく変わりました。
SNS運用代行事業などを展開するCHANGE社が実施した日本の主要SNSに関する調査によると、2025年時点で日本のSNS利用者数は約9600万人(総人口の78.1%)に上り、SNS利用の9割以上がスマートフォン経由というモバイル中心の状況です。
場所を問わず常時接続できるスマホ環境により、移動中や伱間時間にもSNSをチェックする習慣が定着しました。
また、スマートフォンの高性能カメラや高速通信(4G/5G)の普及によって、写真や動画の投稿・視聴が容易になり、リッチコンテンツ前提のコミュニケーションが日常化しています。
特に動画視聴のハードル低下が、ショート動画ブームを後押ししました。
また、ひとりのユーザーが平均3~4種類のSNSを使い分けているのも特徴で、用途やつながりに応じて複数のプラットフォームを併用することが当たり前になっています。
情報収集の面でも変化が顕著で、特に若い世代ではSNSがテレビや新聞に代わる一次情報源となっています。身近なニュースやトレンドをまずSNSで知るという人も多いのではないでしょうか。
インフラ環境の進化に伴い情報拡散のスピードも上がり、トレンドの移り変わりが従来よりも速くなっています。このため企業広報も機敏に反応する姿勢が重要になっています。
プラットフォーム側の変化
ユーザーだけでなく、プラットフォーム側の変化も企業広報に大きな影響を及ぼします。SNS各社はユーザー...