グローバルPR市場の注目事例を紐解き、日本の広報担当者が活用できる知見と実践手法を解説します。
IPRN AGM 2025で発表された欧州PRの好事例を解説する本連載。第5回となる今回は、PRの原点を思い出させてくれるような事例を紹介します。
中国の新興電気自動車ブランドXPENG(中国語名:小鵬汽車、発音は「シャオペン」)が、2025年4月にポーランドで本格的にローンチしました。その市場参入を支え、ポーランドの人々にとって見知らぬブランドであったXPENGを「信頼の対象」に変えたのは、首都・ワルシャワに拠点を置くPRエージェンシー、Public Dialog社です。
彼らが実装したのは、広く社名やブランド名を発信する広告宣伝による戦略ではなく、「体験を通じて共感を生むPR」でした。国や文化、経済圏さえ超えた今回の試みは、PRが持つ本質的な役割を改めて実感させてくれるものになっています。
市場参入は信頼づくりから始まる
自らが認知されていない国で新興ブランドが参入するにあたり、コミュニケーションの目的として置かれがちなのが「認知拡大」です。しかし、まず取り組むべきは「信頼の足場づくり」だと私は考えます。
当時の...

