北海道武蔵女子大学・短期大学の澁谷です。今回で私が担当するこの連載は最終回となります。そのため、これまでお伝えしてきたことや私の想いをお話しします。
私は大学広報に携わるうえで、「大学広報は、引き出すものではなく、創るもの」という考え方を大切にしています。大学広報の現場では、素材をどう見せるか」「教職員や学生の声をどう引き出すか」といった“編集”的な視点が重視されがちです。もちろん、それも重要です。しかし大学広報は今、ただ情報を取り扱うだけではなく、“大学そのものの物語”を共につくり、未来に向けて届けていくフェーズにいると感じています。
「最後の出口」ではなく「最初の入り口」
学内では、広報が「最後の出口」的に扱われることがあります。各部署で生まれた成果や学生の活躍を広報が“発信”するという構図です。
しかし、私はこれとは逆に、広報こそがすべてのはじまりであるべきだと考えています。大学としての学びの設計やブランドづくり、学生の活躍の場を整えること、これらすべてに「誰に、何を、どう届けたいのか」という広報視点が必要だと思うのです。
たとえば、プロスポーツチームとゼミが地域連携プロジェクトに取り組む際、その物語の設計を広報視点で考えます。手段としての動画やプレスリリースだけでなく、その...