グローバルPR市場の注目事例を紐解き、日本の広報担当者が活用できる知見と実践手法を解説します。
生成AIの普及やデジタル化の加速によって、ブランドは短期的な話題づくりや瞬間的な拡散を求められがちです。一方で、海外の優れたPR事例を見ていくと、時間をかけてブランドの語り方そのものを変えていく取り組みが、改めて注目されていることに気づかされます。今回紹介するのは、中東を代表する老舗香水ブランドが、5年という長い時間軸で実現したブランド変革の事例です。
ブランドが直面した転換点
中東を拠点とする老舗フレグランスハウス Ajmal Perfumes(以下、Ajmal社)は、1940年代に創業し、職人技とウード(沈香)の専門性によって高い評価を築いてきました。しかし、香水市場の急速な成熟と競争激化の中で、伝統だけではブランドの将来を語れなくなってきています。第三世代のCEO就任を契機に、同社は「家族経営の伝統ブランド」から「現代的で国際性のある香水ブランド」への転換を本格的に模索し始めました。
この変革を支えたのが、PRを単発の施策ではなく、長期的なブランド戦略として位置づけるアプローチでした。パートナーとなったのは、ドバイを...

