新聞や雑誌などのメディアに頻出する企業や商品リリースについて、PRコンサルタントの井上岳久が配信元企業に直接取材。背景にある広報戦略やリリースづくりの実践ノウハウを、じっくり分析・解説します。
基本を押さえた細かな工夫が
取材する側の興味を喚起し
安定したメディア露出を獲得
今年はWBCやFIFAワールドカップなど、大規模なスポーツ大会が目白押し。そんなタイミングで、バッグやスーツケースのメーカーであるエースから、スタジアム観戦の際に荷物を付属のテープで座席に吊るせるバッグ「エブスタ」が発売されました。
私もよく野球観戦に行きますが、その時に困るのが荷物の置き場所です。地面にはビールなどがこぼれている場合もあるので、私は同行者の分も含めて大きなゴミ袋を持参し、そこに荷物を入れるようにしています。ですからこの商品はナイスアイデアだと思い、取り上げることにしました。
同社では定期的な商品開発と並行して、大きな大会が続くスポーツイヤーの2026年に向けた企画を練っていました。開発担当を中心に、スポーツ好きでしょっちゅう観戦している社員など数人の社員が集結して分科会をつくり、アイデアを出し合う中で「荷物が汚れる問題」にたどり着き、早い段階からテープで吊るす案が出たそうです。
大変だったのは、実際の座席に吊るせるかどうかの確認。「試作品をつくったら、直近でスポーツ観戦できるスタジアムへ行き、座席シートを測ったり装着してみたりしたそうです」とマーケティング部PR・広報マネージャーの森川泉さん。その様子を目撃した人は何事かと驚いたかもしれませんが、その結果、7~8割のスタジアムの座席に対応できる商品が完成しました。
汗で濡れた衣類やタオルを収納できるドライバッグや、会場で配布されるパンフレットやチラシを折らずに収納できるビラポケットなども分科会のアイデアです。「他にも『食べものが置ける機能を付けたい』などの意見もありましたが、バッグ自体が重くなり、価格も高くなるため取捨選択しました」
スタジ...


