新奇性と巧みな訴求方法で累計1000万食を突破

公開日:2025年10月02日

  • 井上岳久(井上戦略PRコンサルティング事務所)

新聞や雑誌などのメディアに頻出する企業や商品リリースについて、PRコンサルタントの井上岳久が配信元企業に直接取材。背景にある広報戦略やリリースづくりの実践ノウハウを、じっくり分析・解説します。

新しい見せ方に挑戦することで
メディアの関心を引き寄せ
多くの露出につながる!

カップラーメンのようにカップにお湯を注ぐだけでお茶づけが食べられる「カップ入りお茶づけ海苔」「同さけ茶づけ」が人気を呼んでいます。発売したのは永谷園。

昔から同社のリリースを定期的にチェックしていましたが、ここ2年ほどユニークなリリースをつくるようになってきたなと感じていました。漫画を取り入れた本商品のリリースはその顕著な例といえます。

食品会社のリリースは概してセールスシートのようで面白みに欠ける中、同社は大手であることに甘えず、リリースでも新しいことに挑戦する姿勢に好感を持ちました。

本商品の開発がスタートしたのは2023年春のこと。同社では2000年頃にカップ入り茶づけを発売しましたが、パックごはんを取り出してレンジで温めるなどの手間がかかるため、お湯を注げば完成する商品をつくることが懸案となっていました。

今回の新商品はフリーズドライ(FD)ごはんを使っています。FDごはんは以前も扱っていたものの、味の面で課題がありました。開発部が研究を続ける中で、ようやく突破口が見つかり、社内のさまざまな条件も整ったのが2023年の春だったのです。

「FDごはんはこれまでは『短時間での湯戻し』が課題でしたが、今回は『家庭で炊飯したご飯の味・食感に近づけるか』に主眼を置き、ゼロベースから始めたと聞いています」と永谷園 広報室の淡路大介さん。

開発部では米の品種・産地と製法の両面から試行錯誤を繰り返したといいます。2024年9月に発売に至りましたが、「まだ研究は続いていて、これで完成形ではないと思っています」と、同広報室長の小川...

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