新奇性・著名性・社会性を織り込み、幅広く露出

公開日:2025年8月05日

  • 井上岳久(井上戦略PRコンサルティング事務所)

新聞や雑誌などのメディアに頻出する企業や商品リリースについて、PRコンサルタントの井上岳久が配信元企業に直接取材。背景にある広報戦略やリリースづくりの実践ノウハウを、じっくり分析・解説します。

新素材や原料の市場浸透は
BtoBtoCの観点から練った
戦略的アプローチが効果的

みなさんは「グアー豆」という名前を聞いたことがありますか?インド原産のインゲン豆の一種です。この豆由来の「グアー豆食物繊維」を加工し、日本に広めているのが、今回取材したBtoB企業の太陽化学です。

40年ほど前、日本では大塚製薬の「ファイブミニ」が発売されるなど、食物繊維が注目された時代がありました。同社はその頃からグアー豆に着目し、着実に普及に努めてきました。

積極的にPRを展開するBtoB企業は少ないものの、自社が開発した新素材や原料を、世の中に認知させたいという思いは往々にしてあります。そうした際に、太陽化学の例は参考になるに違いありません。

インドのパキスタンに近い地方で採れるグアー豆は、全世界の生産量のうち約8割がインドで生産され、乾燥地帯でも生育しやすい特徴があります。グアー豆食物繊維は水溶性食物繊維で、腸内の善玉菌のエサになりやすく、医療介護分野でも広く活用されています。

同社では3年前からマーケティング部を設置し、戦略的に広報を展開していくことに。取材には同部の三ツ矢智美部長、鈴木あゆ副主任、粕渕良章チームリーダーが対応してくれました。

同社では、近年「腸活」が注目されていることもあり、2024年に「快腸ビジネスプロジェクト」と銘打って、社内外でグアー豆食物繊維の普及と啓発をすることに決めました。

例えば社員食堂では、グアー豆食物繊維をご飯に炊きこんだり、製品化したパウダー「サンファイバー」をテーブルに置いて自由に使えるようにしたり、社外ではみずほ銀行の社食で、グアー豆食物繊維を使ったメニューを提供したりしました。

その流れを受けて、2024年12月にはライ...

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