柔軟な発想力が成功のカギを握る広報施策。一方で、その力をどのように養い、実践すればよいのか悩む人は多い。企業のリブランディングなど、数々のプロジェクトを手がけてきたセイタロウデザイン代表の山﨑晴太郎氏に秘訣を聞いた。
「人の心」を動かすことが本質
─広報におけるクリエイティビティをどのようにお考えですか?
クリエイティブという言葉は広く使われていますが、ブランドやクリエイティブをつくる際には、2つのコミュニケーションルートがあると考えています。ひとつは広告、もうひとつは広報を通じてコミュニケーションを広げていくルートです。
特に広報において大事なのは、その奥に「人」がいるということだと思います。情報を右から左に渡すだけでは、たとえそれがどんなに良いプロダクトであっても、人の心に響かなくては広がっていかない。
デザイン思考が「人間中心思考」と言われることがありますが、広報におけるクリエイティブも、それにかなり近いものがあるのではないでしょうか。情報を「誰に」「どう伝えて」「どう料理していくか」。その部分のクリエイティビティが、広報における肝ではないかと考えています。
─広報担当者がクリエイティビティや発想力を養うには、何をするべきでしょうか。
どれだけ「生の体験」をしているかが重要だと考えています。これはクリエイティブディレクターやデザイナーなど、あらゆる職種に言えることですが、現代はスマートフォンをスクロールするだけでなんとなく情報を自分のものにしたような感覚に陥りがちです。しかし、人間の心の芯のような本当に大事なものは、まだ概念化されていなかったり、実際に体験しないと分からなかったりすることがたくさんあります。人が本当に欲しているもの、感動するもの、心を動かされるものというのは、まだ言葉になっていない部分にある。
だからこそ、概念化されたものから、まだ概念化されていないものへと気持ちをコンバートさせることこそ、広報の大事な役割だと感じています。その力を養うためには、圧倒的な「0→1の体験」、つまり自分自身で何かを初めて体験する量が重要になるのではないでしょうか。
原体験から生じたクリエイティブ
─山﨑さんご自身の「0→1の体験」から生まれた仕事を教えてください。
CDエナジーというエネルギー会社のリブランディングです(事例①)。これはまさに僕自身の「0→1の体験」から始まりました。...


