「0→1の体験」から新たな発想を生み出す 山嵜晴太郎氏が語る広報に必要な創造性

公開日:2026年1月30日

  • 山﨑晴太郎氏(セイタロウデザイン)

柔軟な発想力が成功のカギを握る広報施策。一方で、その力をどのように養い、実践すればよいのか悩む人は多い。企業のリブランディングなど、数々のプロジェクトを手がけてきたセイタロウデザイン代表の山﨑晴太郎氏に秘訣を聞いた。

「人の心」を動かすことが本質

─広報におけるクリエイティビティをどのようにお考えですか?

クリエイティブという言葉は広く使われていますが、ブランドやクリエイティブをつくる際には、2つのコミュニケーションルートがあると考えています。ひとつは広告、もうひとつは広報を通じてコミュニケーションを広げていくルートです。

特に広報において大事なのは、その奥に「人」がいるということだと思います。情報を右から左に渡すだけでは、たとえそれがどんなに良いプロダクトであっても、人の心に響かなくては広がっていかない。

デザイン思考が「人間中心思考」と言われることがありますが、広報におけるクリエイティブも、それにかなり近いものがあるのではないでしょうか。情報を「誰に」「どう伝えて」「どう料理していくか」。その部分のクリエイティビティが、広報における肝ではないかと考えています。

─広報担当者がクリエイティビティや発想力を養うには、何をするべきでしょうか。

どれだけ「生の体験」をしているかが重要だと考えています。これはクリエイティブディレクターやデザイナーなど、あらゆる職種に言えることですが、現代はスマートフォンをスクロールするだけでなんとなく情報を自分のものにしたような感覚に陥りがちです。しかし、人間の心の芯のような本当に大事なものは、まだ概念化されていなかったり、実際に体験しないと分からなかったりすることがたくさんあります。人が本当に欲しているもの、感動するもの、心を動かされるものというのは、まだ言葉になっていない部分にある。

だからこそ、概念化されたものから、まだ概念化されていないものへと気持ちをコンバートさせることこそ、広報の大事な役割だと感じています。その力を養うためには、圧倒的な「0→1の体験」、つまり自分自身で何かを初めて体験する量が重要になるのではないでしょうか。

原体験から生じたクリエイティブ

─山﨑さんご自身の「0→1の体験」から生まれた仕事を教えてください。

CDエナジーというエネルギー会社のリブランディングです(事例①)。これはまさに僕自身の「0→1の体験」から始まりました。...

この先の内容は...

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これからの時代の広報×クリエイティビティ

生成AIの進化や業務の効率化が進む中で、広報の仕事を取り巻く環境は大きく変化しています。発信手段やコミュニケーションの「出口」は、プレスリリースやメディア対応にとどまらず、企業広告、オウンドメディア、SNS、統合報告書などへと広がり、広報が向き合う相手や文脈も一層多様化しています。こうした状況の中で、広報に求められているのは、単に情報を正確に届けることではありません。「誰に、何を、どのように伝えれば、人の心が動くのか」という発信のその先にある受け取り方や行動の変化までを見据えた、コミュニケーション全体の設計力が問われるようになっています。そこで改めて焦点を当てたのが、広報における「クリエイティビティ」です。クリエイティビティという言葉は、ビジュアルやコピーといった成果物を想起させがちですが、実際にはその手前にある、課題の捉え方や戦略の組み立て、社内外との関係性の築き方といった思考や判断のプロセスにこそ、重要な役割を果たしています。本特集では、研究者やクリエイターへのインタビュー、企業や自治体の実践事例を通じて、成果物の背後にあるコミュニケーション設計の思想を読み解きます。AI時代だからこそ、広報パーソンが改めて向き合うべき「人」と「コミュニケーションの本質」を見つめ直すことが求められています。

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