エンゲージメントの構造を解く ー人的資本経営に生かすための視点とは

公開日:2026年5月08日

  • 山口真吾、若林感(リクルートマネジメントソリューションズ)

第1回:なぜ今、「エンゲージメント」なのか?

人的資本経営の中核指標であるエンゲージメントを「仕事・職場・会社」の3軸で捉え直し、女性活躍・若手定着・ミドル層活性化という具体的な組織課題と紐づけながら、測定から施策・経営判断までの実践的な活用法を解説します。

近年、「エンゲージメント」という言葉は人的資本経営の文脈において急速に浸透し、多くの企業が重要指標のひとつとして位置づけています。しかし一方で、「測定して終わり」「スコアを追うだけ」といった形骸化も見られるようになってきました。私たちはこうした状況に対し、エンゲージメントを改めて捉え直し、経営に活かすための視点を整理する必要があると考えています。

第1回では「なぜ今エンゲージメントなのか」という問いから出発し、その背景と定義、そして実務に活かすための考え方について整理します。

背景に人手不足や価値観変化

ここ数年で、エンゲージメントに対する企業の関心は明らかに高まっています。実際に企業の現場と接する中でも、その変化を強く実感しています。

背景としてまず挙げられるのが、人手不足の深刻化です。若手の離職や採用難に直面する企業にとって、「人が辞めない組織」「選ばれる企業」であることは重要な経営課題となっています。

さらに、働き方の変化も無視できません。リモートワークの普及や、いわゆるZ世代に代表される価値観の多様化により、従来のような組織への帰属意識は弱まりつつあります。こうした状況では、企業と個人の結びつきをどのように維持・強化するかが問われます。

つまり、外部環境としての人材市場の変化と、内部環境としての働き方・価値観の変化。この両方が重なり、エンゲージメントという概念が改めて注目されているのです。

双方向の関係性

では、そもそもエンゲージメントとは何でしょうか。

従来よく使われてきた指標に「従業員満足度」があります。これは、会社が用意した制度や環境に対して、従業員がどれだけ満足しているかを測るものです。一方でエンゲージメントは、それとは異なる概念です。

エンゲージメントとは、従業員と会社との結びつき、すなわち「愛着」...

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