社会や組織が大きく変化する現代において、求められるものは何か。求人動向やスキル・経験のトレンドなどについて、多角的な視点で現場の第一線から知見を共有する。
広報(PR)に求められる役割が急速に拡大する中、「広報パーソンとしてどう成長すべきか」という問いは多くの実務者が抱える課題です。本稿では、転職市場のデータと採用・転職支援の現場の実感をもとに、広報職に求められるスキル・経験の全体像を俯瞰し、キャリア形成のヒントを探ります。
求人動向とニーズ
広報職の求人件数は、業界を問わず増加傾向にあります。背景には、事業環境の複雑化・ステークホルダーの多様化、さらにメディア環境の変化に伴い、企業がコミュニケーション機能への投資を強化していることがあります。製品やサービスを広める「攻めの広報」、IRや危機管理といった「守りの広報」の両面で人材ニーズが拡大しています。
企業規模によって広報部の規模感や役割には差があり、その差は採用の方針にも表れます。
大手企業の広報部門は、IR担当、メディアリレーション担当、SNS担当、社内広報担当など、役割が細分化されていることが多いです。また、ブランドごとにチームを組成するケースもあります。中途採用をする際には、募集の段階では「事業会社または広告会社・PR会社における広報・PR業務経験5年」と間口を広めにする傾向がありますが、これは組織最適化の観点から、既存社員の配置転換も視野に入れて幅広い候補者と会うためです。ただ、実際には、不足している機能を補える専門性を持った人材が採用されることが多いようです。
中堅・中小企業では、幅広い業務を担う人材が期待されます。いわゆる「ひとり広報」が多く、さらには「広報兼マーケティング」「広報兼総務」といった兼務も少なくありません。そのため、採用においては、特定分野のスキルというよりは、自分で課題を発見し、領域を広げながら活躍できる志向性が重視されています。
成長企業・スタートアップでは、横断型の実務力を持つ即戦力が求められます。広報部門は少人数であることが多く、人的資本や予算の制約から、実務はPR会社に外部委託し、社内の広報担当者は企画や社内外の調整など「ハブ」としての役割を担う体制がよく見ら...


