必要なのは“経営一体の広報” 効果測定で心がけておきたいこと

公開日:2025年11月04日

  • 鈴木正義(Adobe)

「経営のための広報」が求められる一方で、実際にどのようなKPI策定や効果測定を行えばよいか悩む広報担当者は多い。今まで数々の企業で広報活動を経験してきたAdobeの鈴木正義氏に、これからの広報に必要な視点を聞いた。

広報のゴールはどこにあるのか

─近年、経営戦略の一部としての広報の重要性が強調されていますが、現状をどうご覧になっていますか。

経営的な機能として広報を考えた時、外部のパーセプション(認知)を変化させることが大きな目標になると思っています。例えば、「自分たちは電気自動車の生産・開発のリーディング・カンパニーだ」ということ自体は広告で発信できますが、その先にある“外部がそれに同意してくれる状況”をつくり出すことが、広報の経営的なミッションです。それを達成するためには、やはり露出は必要になってきます。

その上で、KPI設定や効果測定における数字は、「そのゴールに正しく向かっているかをチェックするための指標」であることが望ましいです。

ただ、そうなるとリリースの本数など、数字の話ばかりになりがちです。今はPV数やECサイトのコンバージョン率といったデジタルマーケティングが主流なので、社内でも「広報は数字で成果を出す部門だ」といった空気感が醸成される傾向にあります。一方で、広報の最終的なゴールは“自分ではない誰かの気持ちを変化させる”という定性的なことです。そのため、定量と定性の間で悩んでいる広報担当者が多いのが現状だと考えています。

その数字は適切か

─効果測定において数値やKPIの重要性は理解しているが、...

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この記事が含まれる特集

広報と経営をつなぐ効果測定

企業を取り巻く環境が急速に変化する中で、広報に求められる役割も変わりつつあります。企業が信頼を得て持続的に成長していくためには、「自社が何を目指し、どんな未来を描こうとしているのか」という経営の方向性を社内外に伝える力が欠かせません。そのため、広報は情報発信にとどまらず、経営の意図を共有し、共感を生み出す「翻訳者」としての役割を担い始めています。さらに近年は、社会の認識や行動をどう変えるかという点も、経営的な広報機能の中核となっています。効果測定においても、露出の「量」だけではなく、「いかに信頼やレピュテーション、ブランド価値を高めたか」といった露出の「質」に重きを置くケースも見られるようになりました。本特集では、目標設定と効果測定のあり方について、アンケートや事例、インタビューから読み解きます。

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