今年話題となった記者会見をジャッジ “信頼回復の場”に発展させるポイントとは?

公開日:2025年12月01日

    ハラスメント、飲酒、情報漏洩……。今年も不祥事のたびに記者会見が実施されてきたが、内容の不透明さゆえにステークホルダーに不安を与える会見も多かった。本記事では、今年話題となった記者会見を5件に絞りジャッジ。改善点を考え、明日への教訓としたい。

    1.フジテレビ
    “社内の常識は社会の非常識”がそのまま見えた企業の対応

    2025年初頭、フジテレビが直面した一連の不祥事対応は、企業の記者会見史において象徴的な「やり直し会見」の典型例として記憶されるかもしれない。1月17日に行われた社長の定例会見で“説明”が不十分だったため、世の中からの批判が沈静とは真逆に向かっていった。10日後に再度「やり直し会見」を開くという異例の展開。その後、3月31日に第三者委員会の調査報告書を公表し、三段階の説明を経てようやく一定の区切りを迎えた。

    初動の最大の失敗は、「形式的な釈明」で終始し、視聴者やスポンサーが求めた「何が問題だったのか」「なぜ問題を防げなかったのか」という疑問に対し向き合わず、答えようとしなかった点にある。会見での発言は、慎重になるあまり責任の所在が曖昧で、質疑応答でも記者の質問をかわす姿勢が見え隠れしていた。この姿勢が「隠している」「他人事」といった印象を与え、不信を深めた。

    一方、第三者委員会報告の会見では、社外委員を同席させて調査結果を説明するなど、透明性の回復を意識した姿勢は評価できる。社長自身が繰り返し「信頼回復には時間がかかる」と述べ、報告書を踏まえて組織改革に踏み出す姿勢を示したことは一定の成果だったのではないだろうか。

    長時間にわたる記者会見に登壇したフジテレビ幹部。
    写真/産経新聞社

    会見は信頼構築のスタート地点

    本件の教訓は、「会見は一度きりのイベントではなく、信頼再構築のプロセスの始まり」であるという点に尽きる。初動で誤った対応をしてしまうと、後からどれほど丁寧に修正しても、誠実さへの印象を大きく損なう。

    当初、社内の論理を押し通せば、なんとかなると思っていたのではないだろうか。「俺たちはフジテレビなんだぞ。黙って言うことを聞けよ!」といった社内の常識が蔓延していなかったか。1人の独裁者に気に入られようと上ばかり見て、いつの間にか“相手の話に耳を傾けようとする姿勢”がどこかに行ってしまった。社会の常識を見...

    この先の内容は...

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