コミュニケーションコンテンツの戦略立案・企画・制作を手掛けるTYO。同社が新たに提供している「ステートメントムービー」は、ストーリー性の高いクリエイティビティを強みに、インナーブランディングやステークホルダーへの訴求を強化できる手法だ。その特徴などを、同社の小川祐紀氏に聞いた。
TYOは1982年に創業し、「最高の制作チームで、領域を超え、心を動かし、『伝わる』ものを作りつづける。」をミッションに掲げている。テレビCM・オンライン動画等の年間制作本数は、1000本以上に及ぶ。
ステートメントムービーについては、各企業の経営環境が複雑化するなか、「企業の思想や価値観を、社員や投資家にどう伝えるべきか」という問いに直面する経営者が増えていることが出発点。「豊かな映像表現という強みが、インナーブランディングを含めたステークホルダーコミュニケーション領域では十分に活用されていないのではないか」。そうした気づきから、既存のブランドムービーや会社説明動画とは異なる価値の提供を構想した。
強いインパクトを残し、企業の思想を心で理解してもらう。従業員・投資家・株主・採用候補者といった身近なステークホルダーに向け、企業の姿勢や未来像を凝縮して届ける映像フォーマットがステートメントムービーだ。コンセプトには「経営に映像の力を」を据えた。
心もロジックも捉える第三の映像
ステートメントムービーが他の映像と異なる点は、その役割とフォーマットの設計にある。
ブランドムービーは、短時間で世界観や初期好感をつくるが、短尺のため伝えきれないものが出てきてしまう。また、会社説明動画は情報量が多く、理解は促せるが感情は動きにくい。ステートメントムービーは、その両者の長所を併せ持つ。「エモーショナルさとロジカルさの“ちょうど半々”を狙う」と小川氏は語る。映像だからこそ表現できる世界観を保ちつつ、企業の思想・MVV・パーパス・文化など非財務情報を具体的に伝える。感覚的な好感だけでなく、共感・共鳴までつなげる設計が特徴だ。
図 ステートメントムービーの役割
出所/TYO
ステートメントムービーの役割。ステークホルダーの心に響く訴求力を持ち、メッセージの浸透を促すだけでなく、企業サイトや各種パンフレット、イベント、企業VP(説明動画)など、他の手法と連携させることで、その効果を一層高めることができる
ステートメントムービーの例。いわきスポーツクラブの2025年版紹介ムービー「中間報告」では、地域への強い思いやビジョンを形にした
上流工程からコミット
同社はディスクロージャー支援のリーディングカンパニーとの業務提携も進めており、紙媒体・ウェブと映像を組み合わせて非財務情報を立体的に伝える支援をしている。
また、企業が置かれた経営課題に応じて「何を」「どう」伝えるかの設計から関与する。離職率、生産性、企業価値、投資家からの評価など、狙う効果によってメッセージのポイントは変わるため、スタートから寄り添う共創パートナーとして支援する。
さらに、必要に応じてMVVの再整理といった経営の上流工程にも関与する。「映像を前提として上流設計ができる」点にこそ同社の独自性と強みがあり、実際のアウトプットまでつなげられる点が企業の安心感を生む。
映像のプロ×経営文脈
ステートメントムービーを制作するチームは、映像の専門性と経営企画の視座を併せ持つ。映像制作のプロがクリエイティブの質を担保する一方で、小川氏は以前からの経営戦略やIR領域との接点を活かし、中長期戦略の文脈を理解しながら企業課題に向き合う。「遊撃隊のように可能性を探索する立場」の小川氏と、映像のプロとしての揺るぎない技術を持つメンバーが補完し合い、経営視点とクリエイティブ視点をつなぐ点に同社の強みがある。
「社会との接続」も重要
ステートメントムービーの核は、心を動かすストーリー性だ。30秒などの短さの広告では得られない理解・納得・信頼を、3分といった長さを持つ映像で獲得することを想定する。
小川氏は、共感を得られる映像には次の特徴があると語る。
①覚悟・本気度がにじみ出ている
②社会課題や時代の空気と企業の活動がリンクしている
③右脳(情緒)と左脳(論理)のバランスが取れている
従業員も投資家も、「この会社にキャリアや資金を預けてよいのか」を検討する。だからこそ「北極星となる方向性」を提示することが、共鳴を生み出すうえで不可欠だと小川氏は話す。
活用の広がりと、今後の期待
テレワーク普及などを背景に、経営の求心力低下やエンゲージメント低下を課題とする企業は多い。従業員向けイベントやクレド策定などの施策を行っても浸透しないのは、「伝わりきっていない」ことが原因であるケースも多い。そのため、映像、とりわけステートメントムービーを共感・共鳴を手繰り寄せるための伝達フォーマットとして活用する相談が増えているという。
今後はステートメントムービーのポジションをより明確にし、ブランドムービーとは異なる「ステークホルダー向けの最高峰の伝え方」として認知を広げていくことを目指す。同社は映像の力を軸に、イベントやウェブ、プレゼンテーションなど他の施策との統合設計も含めて、企業ごとに最適なコミュニケーション施策を提示していく。
TYO
事業開発本部 BizDev
Chief Executive
小川祐紀(おがわ・ゆうき)氏
人材業界で経営・人事コンサルティングに従事後、SNSマーケティング企業で営業責任者を務め、動画広告やインフルエンサープロモーションを推進。2018年にはデジタルガレージに入社し、クロスボーダーマーケティング部門を創設・責任者として統括。国内外ブランドの東アジア展開を支援し、動画メディア事業化も実現。2023年にTYOに入社し、「ステートメントムービー」や「Another Side of Japan」を軸に新規事業とマーケティングを推進。
お問い合わせ
株式会社TYO ステートメントムービーサービスサイト
https://statementmovie.tyo.co.jp/
〒107-0052 東京都港区赤坂2-14-5 Daiwa赤坂ビル6F
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